monochrome 〜君の切り取る世界に、恋をした〜
4月。
校門へと続く緩やかな坂道には、風が吹くたびに桃色の花びらが雪のように舞い散っていた。
新しい制服に身を包んだ新入生たちの賑やかな話し声。
周囲の生徒たちは、すでに中学からの知り合い同士や近くの席になった者同士で小さなグループを作り、楽しそうに笑い合っている。
けれど、白石彩羽(しらいし あやは)はその賑やかな輪にどうしても加わることができず、うつむきながら人波を避けるように歩いていた。
────入学式直後。
ホームルームでの自己紹介。
自分の気持ちを言葉にするのが昔から極度に苦手だった彩羽は、大勢の視線を前にして完全に声が出なくなってしまった。
緊張のあまり身体をこわばらせ、小さな声で途切れ途切れに名前を言っただけの自己紹介は、教室に気まずい沈黙を生んでしまったのだった。
(また、ダメだったな…。)
早くもクラス内で''おとなしくて暗い子''という無言のラベルを貼られてしまったのを感じ、彩羽はため息を噛み殺した。