monochrome 〜君の切り取る世界に、恋をした〜
入学式そのものの記憶も、どこか遠い出来事のように感じられた。
体育館の厳かな空気の中、新入生席の反対側に並んでいた在校生たちの姿。
その中でもひときわ歓声と視線を集めていた人物がいた。
学校指定の制服を崩すことなく着こなし、光を反射するような整った顔立ちで堂々と立っていた上級生
────黒羽律(くろば りつ)
式典の間、新入生の女子たちが
「あの先輩すごくかっこいい。」
「何部なんだろう。」
とヒソヒソと騒ぎ合っていたのを覚えている。
誰にでも柔らかい笑みを振りまき、世界の中心にいるような華やかな存在。
自分とは住む世界が完全に異なる、遠い雲の上の人
────彩羽にとって、律の第一印象はただそれだけだった。