君の隠し事
放課後。

私は女子サッカー部にの練習に向かうため、グラウンドへ向かっていた。

その途中、男子サッカー部の練習場が見える。

いつもなら、彼がいる。

でもーー

「……いない?」

練習は始まっている。

なのに、彼だけがいなかった。

次の日も。

その次の日も。

私は気になって、とうとうLINEを送った。

「最近、部活来てない?」

既読がつく。

しばらくして。

『 来てるよ』

「でも、見ないけど?」

『 たまたまじゃない?』

「そっか」

そこで会話は終わった。

でも私は知っていた。

たまたまなんかじゃない。

彼は何かを隠している。

そう思った。

数日後。

練習が終わった私は、忘れ物を取りに教室へ戻った。

廊下は静かだった。

その時。

「……え?」

階段の向こうに、彼がいた。

1人だった。

でも、私を見た瞬間。

彼は何かを慌ててポケットにしまった。

「……何してるの?」

『 え?』

「こんなところで」

『 ちょっと用事』

いつもの彼なら笑ってごまかす。

でも今日は違った。

目を合わせてくれない。

「最近さ」

『 うん』

「何か隠してる?」

彼の表情が止まった。

一瞬だけ。

本当に一瞬だけ。

何かを言おうとしたように見えた。

でもーー

『 ……別に』

「嘘」

『 嘘じゃないって』

「じゃあ何で最近部活に来てないの?」

沈黙。

彼は呟いた。

『 ……それは』

「それは?」

『 ……ごめん』

「なんで謝るの?」

彼は答えなかった。

ただ、私の横を通り過ぎようとする。

私は思わず、その腕をーー

いや。

掴めなかった。

「……待って」

彼が立ち止まる。

「私じゃ、頼りない?」

彼は振り返らなかった。

『 ……そういう事じゃない』

「じゃあ、なんで?」

長い沈黙の後。

彼が小さな声で言った。

「……知らないほうがいい」

その言葉を残して、彼は言ってしまった。

一人残された廊下で、私は立ち尽くした。

知らないほうがいい。

その言葉が、頭から離れない。




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