君の隠し事
その日の夜、私は何度もスマホの画面を開いた。

新しいメッセージは、届いていない。

最後に表示されているのは、彼の『実は……』だけ。

まるで、言いかけた言葉を途中で飲み込んだみたいだった。

「……何なの?」

独り言のように呟いて、私はベッドに倒れ込む。

彼が何かを隠している。

それは、もう間違いない。

でも、どうして私に言えないのかがわからなかった。

去年はもっと近かった。

授業中に目が合えば笑ってくれたし、体育のサッカーでは、わざと私にボールを渡してくれた。

帰り道が同じになれば、くだらない話をしながら一緒に帰った。

なのに今は、同じ学校にいるのに、彼のことが何も分からない。

スマホが震えた。

私は、勢いよく画面を確認する。

けれど、届いたのは部活のグループLINEだった。

明日の練習時間についての連絡。

「……期待したのに」

自分でも驚くほど、声が寂しくなった。

そのとき、ふと彼のポケットにしまわれたものを思い出した。

小さな白い封筒。

角が少し折れていて、表には何かの病院の名前が書かれていた気がする。

病院。

その言葉が頭に浮かんだ瞬間、胸の奥が冷たくなった。

まさか。

でももし、彼が怪我をしているのなら。

もし、サッカーを続けられない何かがあるとしたら。

だから部活に来ていないのだとしたら。

私はそれ以上考えるのをやめた。

怖かった。

彼の秘密を知ることが。

そして、知ったあとに何も出来ない自分を思い知らされることが。


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