イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
「見せたくなかった」

ぽつりと、湊が言った。

紬は顔を上げる。

「こういうの」

テーブルの上の薬。
洗濯物。
飲みかけの麦茶。
少し古い家具。
夕方の薄い光の中で見える、彼の日常。

「なんで」

紬がそう聞くと、湊は目を伏せた。

「がっかりされたくなかったから」

その言葉に、紬の胸が痛くなる。

「がっかりなんてしない」

「するよ。普通は」

「しないよ」

思ったより強い声が出た。
湊が少しだけ驚いた顔をする。

紬は手をぎゅっと握った。

「むしろ……すごいって思った」

「すごくない」

「すごいよ」

言葉があふれる。

「学校では普通にしてて、弟くんのことも家のこともやってて、それで笑ってて。そんなの、すごいに決まってる」

湊は何も言わなかった。
ただ、静かに紬を見ていた。

その目が少し揺れた気がして、紬は続ける。

「ちゃんとしすぎるの、苦しいでしょ」

その瞬間、湊の表情が崩れた。
泣くわけではない。
でも、いつもの平気な顔が、ほんの少しだけ消えた。
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