イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
もっと甘えたくなる。
その相手に、自分が入っている。

それだけで胸がいっぱいになるのに、同時にどうしようもなく切ない。
彼はきっと、自分が誰かに寄りかかることに慣れていない。
慣れていないからこそ、甘えてしまう未来を怖がっている。

紬は小さく息を吸った。

「甘えていいのに」

湊が目を上げる。

「私じゃだめ?」

言った瞬間、もう取り消せないと思った。

告白ではない。
でも、告白に近い。
隠していた気持ちの端が、とうとう声になってしまった。

湊は何も言わなかった。
ただ、まっすぐに紬を見ていた。
その目があまりにも真剣で、紬のほうが先に泣きそうになる。

やがて彼は、空になったお弁当箱をそっと閉じてから言った。

「だめじゃない」

胸が強く痛む。

「だめじゃないから、困る」

そのひと言が、やさしすぎて残酷だった。

うれしい。
でも、苦しい。
拒まれたわけではない。
むしろ近い。
近いのに、まだ触れきれない。

それがたまらなく切なかった。
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