イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
八月の半ば、雨の夜だった。

窓を打つ雨音を聞きながら、紬は湊から届いた手紙を読み返していた。
その日の便せんには、少しだけ文字の乱れがあった。

今日はだめだった。
澪の前では平気なふりしたけど、ほんとは少しきつい。
こんなこと書くの、迷った。
でも白石には、ちゃんと話すって決めたから。

読み終えた瞬間、紬の目に涙がにじんだ。

ちゃんと話す。
あの夕方の約束を、湊は守ろうとしている。
不器用でも、苦しくても、少しずつ。

紬は便せんを取り出した。
今すぐそばに行けない代わりに、せめて言葉で触れたかった。

きついって書いてくれてありがとう。
私はうれしかったです。
つらいことを知るのがうれしいなんて変かもしれないけど、隠されるよりずっといい。
会えなくても、ひとりじゃないって伝えたいです。

書き終えたあと、胸が少しだけ軽くなった。
でも同時に、会えないことの切なさも深くなった。

本当は、文字じゃなくて声で伝えたい。
本当は、隣にいたい。
手紙では届くまで時間がかかる。
その待つ時間まで、恋の苦しさに変わっていく。
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