イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
夏休みの終わりが近づくころ、紬の机の引き出しには封筒が何枚も増えていた。

どれも長い手紙ではない。
でも、そこには会えなかった日のぶんだけ、ふたりの気持ちが詰まっていた。

言えなかったこと。
会いたかった気持ち。
眠れない夜。
少しだけ笑えた日。

手紙は便利ではない。
すぐ届かないし、すぐ返せない。
でも、その不便さがかえって切なかった。
会えない時間をそのまま抱えたまま、相手の言葉を待つしかないからだ。

紬は何度も思った。
この夏が終わったら、ちゃんと会えるだろうか。
湊はまた笑ってくれるだろうか。
それとも、手紙の中でだけ近いまま、現実ではまだ遠いままだろうか。

けれど、ひとつだけ確かなこともあった。
会えなくても、ふたりの気持ちは消えなかった。
むしろ、会えないからこそ深くなってしまった。

好きだと知ったあとで交わす手紙は、やさしいのに残酷だ。
文字だけであたためられるぶん、触れられない寂しさもはっきりしてしまう。

それでも紬は、最後に届いた手紙を何度も読み返した。

二学期になったら、ちゃんと会いたい。
今度は逃げないようにする。

その一文だけで、胸がいっぱいになる。

待つ時間は、まだ終わっていない。
でも、ただ苦しいだけではなくなっていた。
手紙の向こうに、たしかに同じ想いがあると知っているから。
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