イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
三時間目と四時間目のあいだの短い休み時間。
紬が次の授業のノートを出していると、後ろから机に肘をつく気配がした。

「紬、ここの問題わかる?」

振り向くと、悠生が数学のプリントを見せてくる。
わからないというより、たぶん話しかける口実だとすぐにわかった。

「ここはこうじゃない」

紬がノートに式を書きながら説明すると、悠生はすぐ横からのぞきこんだ。

「近い」

思わずそう言うと、悠生が笑う。

「昔もよく教えてもらってたじゃん」

「昔の話しすぎ」

「だって懐かしいし」

その明るい声に、周りの子たちがくすっと笑う。
教室の空気は軽い。
けれど紬だけは、背中にじわりと熱を感じていた。

見られている。
たぶん、湊に。

気づかないふりをしたかった。
でも気になってしまって、そっと前を向く。

すると斜め前の席で、湊が教科書を閉じるところだった。
表情はいつも通り静か。
なのに、その手つきだけが少しだけ強い。

胸がざわつく。
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