イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
昼休み。
今日は真帆が先生に呼ばれていて、紬はひとりでお弁当を広げていた。

そこへ、悠生が当たり前みたいに自分の椅子を持ってくる。

「今日も一緒でいい?」

「……いいけど」

断れなくて答えると、悠生は嬉しそうに座った。

「紬の卵焼き、ちょっともらっていい?」

「だめ」

「即答」

「自分で作ってきて」

「冷たいな」

そんなやりとりをしていると、ふいに影が落ちた。

顔を上げると、湊が立っていた。

一瞬、息が止まる。

教室のざわめきが、ほんの少し遠くなる。
悠生も気づいて顔を上げた。

湊は紬を見る。
それから悠生へ視線を向けて、静かな声で言った。

「白石、ちょっといい」

紬は目を瞬かせた。
湊のほうから、教室で、こんなふうに声をかけてくるのは初めてだった。

「え」

「話ある」

短い。
でも、有無を言わせない響きがあった。

悠生が空気を読むように笑う。

「じゃあ俺、あとで」

「うん」

返事をしたものの、紬の心臓はもう落ち着かなかった。
< 92 / 118 >

この作品をシェア

pagetop