精霊に愛された少女は、最強魔術師に見つかった
プロローグ
精霊とは強大な力を持つ人ならざるものである。
人の手では手の届かない特別な存在。彼等は人の前に時折姿を現しては、恩恵を与えて去っていく。
それこそ建国神話や英雄譚などにもその名はよく連ねている。
故に精霊と親しくしている者は、人々の間でも特別視される傾向にある。
そう、そしてその国……ミストラル王国では、精霊信仰の傾向が強い。というのも、建国時に風の精霊の加護を賜ったと呼ばれているのが王家であるためだ。
ただし、精霊の姿を見ることの出来る者は数少ない。それこそ、王族の中でも精霊を視る瞳を持つ者は数代前の王家にしかいなかったぐらいである。
――しかし王家以外の、貴族の出で時折、精霊を視ることが出来る者は存在する。
とある伯爵家の御令嬢が、精霊を視ることが出来るのだと噂になっている。その名前は、ハウレワ・シューカーベン。
……私、パルフィア・シューカーベンの腹違いの妹である。
私と同じ年の腹違いの妹は、精霊に愛されている娘であると広まっており、それはもう多くの者達に囲まれている。
同じ学園に通っているのだけど、私と違って友人も多い。
私は人付き合いをあまり出来ていない。それは精霊に愛されていると噂の妹が私のことを忌避しているからである。
お父様の後妻である義母も、腹違いの妹であるハウレワも私のことをよく思っていない。
そもそもお父様だってそうだ。お母様とお父様は政略結婚によって結ばれ、そこに愛はなかった。
だからお母様が亡くなってすぐに、愛人の娘であったハウレワを受け入れ、愛人と結婚した。
義母のことをお父様は愛しているらしい。
私やお母様に向けているような視線とは全く違った。というよりお母様が生きていた頃からお父様は私やお母様には興味がなかったので今の状況もなんら不思議がない。
ハウレアが精霊を視ることが出来るというのもあって、余計にその愛情は彼女に向けられている。
それでいてハウレアには最上の相手を与えたいからなどといって、まだ婚約者も作られていない。
……ちなみにだけど、私には家のためにと与えられた婚約者は居る。ただしその婚約者はハウレアの周りにいつもいる。所謂取り巻きのようなものになっている。
なんというか、ハウレアに良い相手が見つからなかった場合は私の婚約者が妹の婚約者になることだろう。当事者である私には全く伝えられていないけれども、両家の間でそう言う取り決めがされているらしい。
私はそう言う扱いをされている令嬢だった。
仮にも伯爵令嬢という立場なのに、家での扱いも正直言って雑だ。侍女などは私の面倒をみたがらない。
寮に入ることを望んだのに、それでは外聞が悪いなどと言われて入寮することも出来なかった。
ただ家族は私のことを嫌っているので、そのうち家を追い出されたりする可能性も十分にある。
だって彼らは、私に何も残したくないだろうから。
というかそう言う話し合いがされていることも私は知っている。寧ろ家を出たいとさえ思っているのでそれはそれで問題ない。
寧ろ伯爵家を継ぎたくもない。それに婚約者と結婚をしたくもない。
私はそんなことを考えている。だからこそ、大人しく……私に対して周りが興味を持つようなことがないように気を付けていた。
なのだけど……、
「凄いな、ここまで緻密に自身の魔力を隠すか」
――私は、とある男性に見つかってしまったのだ。
私は細心の注意を払っていたつもりだった。
周りに誰も居ないことを確認して、精霊達へのお願いをした上で誰も近づけないようにしていたはずだった。
なのに……その場に、彼は現れてしまった。
ソルベシア・ラッコーン。
大国である隣国の、最強の魔術師。
「それにこんなに精霊に囲まれているとは」
『ごめんね、パルフィア。この人に気づかれちゃった!!』
楽し気に笑うソルベシア様と、申し訳なさそうな精霊。
私は、そんな彼らを前に大きなため息を吐くのだった。
――そう、私は精霊を視て、会話を交わす力を持っている。
それこそ、妹であるハウレワ以上に強いものを。
人の手では手の届かない特別な存在。彼等は人の前に時折姿を現しては、恩恵を与えて去っていく。
それこそ建国神話や英雄譚などにもその名はよく連ねている。
故に精霊と親しくしている者は、人々の間でも特別視される傾向にある。
そう、そしてその国……ミストラル王国では、精霊信仰の傾向が強い。というのも、建国時に風の精霊の加護を賜ったと呼ばれているのが王家であるためだ。
ただし、精霊の姿を見ることの出来る者は数少ない。それこそ、王族の中でも精霊を視る瞳を持つ者は数代前の王家にしかいなかったぐらいである。
――しかし王家以外の、貴族の出で時折、精霊を視ることが出来る者は存在する。
とある伯爵家の御令嬢が、精霊を視ることが出来るのだと噂になっている。その名前は、ハウレワ・シューカーベン。
……私、パルフィア・シューカーベンの腹違いの妹である。
私と同じ年の腹違いの妹は、精霊に愛されている娘であると広まっており、それはもう多くの者達に囲まれている。
同じ学園に通っているのだけど、私と違って友人も多い。
私は人付き合いをあまり出来ていない。それは精霊に愛されていると噂の妹が私のことを忌避しているからである。
お父様の後妻である義母も、腹違いの妹であるハウレワも私のことをよく思っていない。
そもそもお父様だってそうだ。お母様とお父様は政略結婚によって結ばれ、そこに愛はなかった。
だからお母様が亡くなってすぐに、愛人の娘であったハウレワを受け入れ、愛人と結婚した。
義母のことをお父様は愛しているらしい。
私やお母様に向けているような視線とは全く違った。というよりお母様が生きていた頃からお父様は私やお母様には興味がなかったので今の状況もなんら不思議がない。
ハウレアが精霊を視ることが出来るというのもあって、余計にその愛情は彼女に向けられている。
それでいてハウレアには最上の相手を与えたいからなどといって、まだ婚約者も作られていない。
……ちなみにだけど、私には家のためにと与えられた婚約者は居る。ただしその婚約者はハウレアの周りにいつもいる。所謂取り巻きのようなものになっている。
なんというか、ハウレアに良い相手が見つからなかった場合は私の婚約者が妹の婚約者になることだろう。当事者である私には全く伝えられていないけれども、両家の間でそう言う取り決めがされているらしい。
私はそう言う扱いをされている令嬢だった。
仮にも伯爵令嬢という立場なのに、家での扱いも正直言って雑だ。侍女などは私の面倒をみたがらない。
寮に入ることを望んだのに、それでは外聞が悪いなどと言われて入寮することも出来なかった。
ただ家族は私のことを嫌っているので、そのうち家を追い出されたりする可能性も十分にある。
だって彼らは、私に何も残したくないだろうから。
というかそう言う話し合いがされていることも私は知っている。寧ろ家を出たいとさえ思っているのでそれはそれで問題ない。
寧ろ伯爵家を継ぎたくもない。それに婚約者と結婚をしたくもない。
私はそんなことを考えている。だからこそ、大人しく……私に対して周りが興味を持つようなことがないように気を付けていた。
なのだけど……、
「凄いな、ここまで緻密に自身の魔力を隠すか」
――私は、とある男性に見つかってしまったのだ。
私は細心の注意を払っていたつもりだった。
周りに誰も居ないことを確認して、精霊達へのお願いをした上で誰も近づけないようにしていたはずだった。
なのに……その場に、彼は現れてしまった。
ソルベシア・ラッコーン。
大国である隣国の、最強の魔術師。
「それにこんなに精霊に囲まれているとは」
『ごめんね、パルフィア。この人に気づかれちゃった!!』
楽し気に笑うソルベシア様と、申し訳なさそうな精霊。
私は、そんな彼らを前に大きなため息を吐くのだった。
――そう、私は精霊を視て、会話を交わす力を持っている。
それこそ、妹であるハウレワ以上に強いものを。