精霊に愛された少女は、最強魔術師に見つかった
「私がなぜ、自分の力を隠しているのか」
さて、なぜ私が自身の力のことを隠しているかと言えば、その力を悟られてしまったら利用されてしまうだろうと亡きお母様が危惧していたからだ。
私のお母様は、優秀な魔術師を輩出した伯爵家の出だった。
お父様との政略結婚が成立したのも、優秀な子供が生まれることを期待されたからだった。
お母様は結婚した当初から、冷遇されていた。
お父様は愛のない結婚をしたお母様のことを疎んでいたのだ。お母様がどれだけお父様と仲良くしようとしても、取り付く島もなかったらしい。
……それは私の乳母であった侍女からもその話は聞いていた。
私に魔力量が多いということを知っても、お父様は私達親子に興味関心もなかった。
今思えば、ハウレアが産まれてそちらに構うことに必死なのだろう。お母様は愚かではなくて、お父様が自分たちを疎んでいることも、愛人がいることも把握していた。
それも踏まえた上で、離縁出来ないことも分かっていた。
そんな状況でもお母様は気丈で、いつでも私に優しくしてくれていた。私は優しいお母様のことがそれはもう好きだった。
私は産まれながらに精霊の姿が見えた。そして精霊が見えることも、話せることも当たり前だと思っていた。
言葉を交わせるようになってから、お母様にそのことを言った時に「隠した方がいい」とそんな風に言われた。
――あなたのように精霊の姿が見えて、話せることは特別なことなの。精霊に好かれているあなたのことを私は母親として誇りに思うけれど、もしそれを知られてしまったら……利用されてしまうわ。ごめんなさい。私にはパルフィアを守るだけの力がないから。
申し訳なさそうにそう言ったお母様のことを思い出すと、私はいつも胸が痛くなる。
……お母様は元々、身体が弱い人だった。
私を産んでから年々、体調を崩しがちだった。自分の死を予見していたのだと思う。
それにお医者様もなかなか呼んでもらえなかった。……それにお母様はご実家ともそこまで親しくなかった。
お母様の実家にとって、お母様は利用できる手ごまでしかなかったのだ。
おじい様やおばあ様達とは、必要最低限しか関わっていない。
そう言う現状を思うと、お母様が私に力を隠すように言ったのも当然のことだと思えた。
だって私が仮にその力を告げたら、お父様も、おじい様達も、ただその力を利用しようとしただろう。
雁字搦めになって、私はどうすることも出来なくなっただろう。
それにただでさえ今も義母と妹からのあたりが強くて、生活していくのも大変だ。
私にそんな力があって、妹よりも目立つなんてことがあれば嫌がらせが増すことは間違いなかった。
その嫌がらせの中には、それこそ怪我をするようなものも多々あった。
それらはなんとか対処することは出来ていたけれども……このままこの国に残っているのも、良くない。
妹は精霊を視ることが出来るとはいっても、あくまで一部の精霊を視たり出来るだけだ。会話も交わせるわけでもないし、視えない精霊も多い。どちらかというと無邪気で、子供ような下級精霊が自分のことを視える妹に興味を持っている程度である。
実家では精霊を視える存在なんて妹以外居ないので、妹が視えない精霊には力を貸してもらったりもした。
学園に入学してからは何処に精霊を感じ取れる存在が居るか分からないので、基本的には精霊達には自分に近づかないように告げておいた。
とはいえ、精霊たちはいつも私と遊びたがっていたりする。
お願いを聞いてもらっているのに、精霊たちと関わらでいると皆が拗ねてしまうかもしれない。
精霊は人とは異なる思考をしているので、そうやって蔑ろにしてばかりだと精霊に嫌われてしまう。
そういうのは嫌だったので、時折注意を払いつつ精霊たちにお菓子をプレゼントしたりなどをしていた。
あとは魔力を贈ったり。
精霊たちが私を好きでいてくれているのは、私の魔力を好んでいるからというのがあるらしい。
魔力というのは一人一人違って、精霊によっては味があるんだとか。
だから精霊に好かれる人というのは、基本的に精霊たちにとっては美味しい魔力を持ち合わせている人らしい。
魔力が美味しいってどういう感覚なのか私にはよく分からない。
ただ幾ら精霊に好かれている人でも、精霊を視たりすることが出来ない人も多いらしい。
というか大多数がそうだ。
両方を持ち合わせている人も中々居ないのだって。
そういうわけで、私は精霊のことを視たり、話が出来ることを徹底的に隠していた。
それこそ私とお母様しか知らないことだっただろう。
――だけれども、ソルベシア・ラッコーンにばれてしまったのである。
私のお母様は、優秀な魔術師を輩出した伯爵家の出だった。
お父様との政略結婚が成立したのも、優秀な子供が生まれることを期待されたからだった。
お母様は結婚した当初から、冷遇されていた。
お父様は愛のない結婚をしたお母様のことを疎んでいたのだ。お母様がどれだけお父様と仲良くしようとしても、取り付く島もなかったらしい。
……それは私の乳母であった侍女からもその話は聞いていた。
私に魔力量が多いということを知っても、お父様は私達親子に興味関心もなかった。
今思えば、ハウレアが産まれてそちらに構うことに必死なのだろう。お母様は愚かではなくて、お父様が自分たちを疎んでいることも、愛人がいることも把握していた。
それも踏まえた上で、離縁出来ないことも分かっていた。
そんな状況でもお母様は気丈で、いつでも私に優しくしてくれていた。私は優しいお母様のことがそれはもう好きだった。
私は産まれながらに精霊の姿が見えた。そして精霊が見えることも、話せることも当たり前だと思っていた。
言葉を交わせるようになってから、お母様にそのことを言った時に「隠した方がいい」とそんな風に言われた。
――あなたのように精霊の姿が見えて、話せることは特別なことなの。精霊に好かれているあなたのことを私は母親として誇りに思うけれど、もしそれを知られてしまったら……利用されてしまうわ。ごめんなさい。私にはパルフィアを守るだけの力がないから。
申し訳なさそうにそう言ったお母様のことを思い出すと、私はいつも胸が痛くなる。
……お母様は元々、身体が弱い人だった。
私を産んでから年々、体調を崩しがちだった。自分の死を予見していたのだと思う。
それにお医者様もなかなか呼んでもらえなかった。……それにお母様はご実家ともそこまで親しくなかった。
お母様の実家にとって、お母様は利用できる手ごまでしかなかったのだ。
おじい様やおばあ様達とは、必要最低限しか関わっていない。
そう言う現状を思うと、お母様が私に力を隠すように言ったのも当然のことだと思えた。
だって私が仮にその力を告げたら、お父様も、おじい様達も、ただその力を利用しようとしただろう。
雁字搦めになって、私はどうすることも出来なくなっただろう。
それにただでさえ今も義母と妹からのあたりが強くて、生活していくのも大変だ。
私にそんな力があって、妹よりも目立つなんてことがあれば嫌がらせが増すことは間違いなかった。
その嫌がらせの中には、それこそ怪我をするようなものも多々あった。
それらはなんとか対処することは出来ていたけれども……このままこの国に残っているのも、良くない。
妹は精霊を視ることが出来るとはいっても、あくまで一部の精霊を視たり出来るだけだ。会話も交わせるわけでもないし、視えない精霊も多い。どちらかというと無邪気で、子供ような下級精霊が自分のことを視える妹に興味を持っている程度である。
実家では精霊を視える存在なんて妹以外居ないので、妹が視えない精霊には力を貸してもらったりもした。
学園に入学してからは何処に精霊を感じ取れる存在が居るか分からないので、基本的には精霊達には自分に近づかないように告げておいた。
とはいえ、精霊たちはいつも私と遊びたがっていたりする。
お願いを聞いてもらっているのに、精霊たちと関わらでいると皆が拗ねてしまうかもしれない。
精霊は人とは異なる思考をしているので、そうやって蔑ろにしてばかりだと精霊に嫌われてしまう。
そういうのは嫌だったので、時折注意を払いつつ精霊たちにお菓子をプレゼントしたりなどをしていた。
あとは魔力を贈ったり。
精霊たちが私を好きでいてくれているのは、私の魔力を好んでいるからというのがあるらしい。
魔力というのは一人一人違って、精霊によっては味があるんだとか。
だから精霊に好かれる人というのは、基本的に精霊たちにとっては美味しい魔力を持ち合わせている人らしい。
魔力が美味しいってどういう感覚なのか私にはよく分からない。
ただ幾ら精霊に好かれている人でも、精霊を視たりすることが出来ない人も多いらしい。
というか大多数がそうだ。
両方を持ち合わせている人も中々居ないのだって。
そういうわけで、私は精霊のことを視たり、話が出来ることを徹底的に隠していた。
それこそ私とお母様しか知らないことだっただろう。
――だけれども、ソルベシア・ラッコーンにばれてしまったのである。


