精霊に愛された少女は、最強魔術師に見つかった
「私と、隣国の魔術師の会話 ②」
可愛らしい。
そんなことを異性から言われるのは初めてだった。
お母様が生きていた頃は、そんな言葉をかけてもらえることもあった。でも今は違う。
お父様からも大切にされているハウレワの方がずっと注目を浴びていて、私にはそう言う言葉をかける価値もないと周りが思っていることも分かっていた。
「だ、駄目じゃない、ですけれど」
「照れてるのか?」
「……仕方がないでしょう。私はその……可愛らしいなんて言葉、異性からかけられたことはないので」
「そうなのか? お前の周りにいる男は見る目がないな」
そんなことを軽い調子で言われて、やっぱり恥ずかしくなってしまった。
「……そんなことはないと思いますわ。ハウレワの方が美しい姿を見せていることは確かですから」
周りにいる男性陣が見る目がないとは思わない。だってハウレワの方が華やかな女性であることは間違いない事実だ。私が自身の見た目を地味なものに装っているのもあって、目立たないのは当然のことだった。
「そうだったとしても溢れ出るものはあるだろう。俺からしてみると、こんなにも愛らしい存在を目にも留めないなど信じられないが」
「……そんな風に褒めても何も出ませんよ?」
「照れて益々可愛らしい姿を見れるだけで俺は満足だから気にするな」
「……そうですか」
「そうだ。もっと様々な姿を見たい」
ソルベシア様はそんなことを言って、心の底から楽しそうに笑っている。
……こういったどこか無邪気な様子が、精霊たちに気に入られる要素なのかしら。
『ソルベシア、凄く見る目ある! パルフィアは可愛いもん』
『ソルベシアにならパルフィアを任せてもいいかも!』
「……勝手にそんなことを言わないで」
精霊たちのはしゃいだ声を聞きながら、思わず返事をした。その後、ソルベシア様には精霊の声が聞こえないのだったとはっとしてしまう。
変に思われたりするのでは? と思ったけれど、ソルベシア様は益々笑みを深めていた。
「精霊たちが何か喋っているのか?」
「ええ。そうですわ。精霊達はソルベシア様のことを気に入っていらっしゃるようですの」
そもそも精霊たちにとってソルベシア様が興味惹かれる存在じゃなければ、私の前に連れてきてしまうこともなかっただろう。
彼等のお気に入りの人間だからこそ、ソルベシア様は此処までやってこれたと言える。
「それは光栄だな」
ソルベシア様はそう口にしたかと思うと、精霊たちの方を向いて言葉を発する。
「改めて、俺はお前達の愛するパルフィアと仲良くさせてもらうつもりだが、許可してもらえるか?」
精霊相手だというのにも関わらずソルベシア様は、何処か不敵な態度である。
例えば精霊たちから敵意を向けられたとしても、どうにでも出来るだけの力を持ち合わせているからなのかもしれない。
隣国最強の魔術師として名高いものね……。
『もちろんだよー。パルフィアはいつも一人で寂しそうだもん』
『ソルベシアなら、パルフィアのお友達になってあげられるはず』
……精霊たちの言葉、ソルベシア様に聞こえなくて良かったなと改めて思った。
だって私が友人の一人もいない寂しい人間だというのを、知られるのも何だか恥ずかしいもの。
友人がいないのは事実だけど!!
そもそもハウレワも義母も私の周りに人が居るのを気に食わないと思っているのだ。
私が少しでも目立つことをよく思っていなくて、私が辛い目に遭えばあうほど愉悦に浸る。
私が少しでも親しい人間を作れば、それだけで彼らは親しい相手に酷いことをしようとするだろう。
私が親しい人間を作らないのは、仲良くなった人たちが傷つけられないようにするためというのも大きい。……まぁ、作ろうとしても作れないというのも本当のことだけど。
ただソルベシア様ならば、例えば私が親しくしていることを知られたとしても問題ないのではないかという期待もあった。
ハウレワ達から何かちょっかいをかけられたとしても、ソルベシア様ならば気にしないだろう。
「……精霊たちは許可をすると言っておりますわ。それと、もし仮に私がソルベシア様と親しくしていることを知ったら、ハウレワや私の義母はあなたになにかするかもしれません。その時は迷わず私を切り捨ててもらって構いません」
「心外だな。俺が、その程度のことで臆するとでも?」
「いえ、そうは思っていませんが……ハウレワ達は私が目立つことを極端に嫌っていますから。自分よりも私が注目を浴びることをハウレワは本当に嫌がるんです」
私がそう言うと、ソルベシア様は「へぇ」と面白そうに笑う。
「そうなったらそうなったで望むところだ。どうにでもしてやる」
「……そうですか。でも一番は、バレないことですからね?」
「分かっている。パルフィアが望むなら、ばれないようにすることとしよう」
ソルベシア様はそう言って笑った。
――そして私はソルベシア様とまた会う約束をして、別れるのだった。
誰かと、次の約束をするなんて初めてだった。
そんなことを異性から言われるのは初めてだった。
お母様が生きていた頃は、そんな言葉をかけてもらえることもあった。でも今は違う。
お父様からも大切にされているハウレワの方がずっと注目を浴びていて、私にはそう言う言葉をかける価値もないと周りが思っていることも分かっていた。
「だ、駄目じゃない、ですけれど」
「照れてるのか?」
「……仕方がないでしょう。私はその……可愛らしいなんて言葉、異性からかけられたことはないので」
「そうなのか? お前の周りにいる男は見る目がないな」
そんなことを軽い調子で言われて、やっぱり恥ずかしくなってしまった。
「……そんなことはないと思いますわ。ハウレワの方が美しい姿を見せていることは確かですから」
周りにいる男性陣が見る目がないとは思わない。だってハウレワの方が華やかな女性であることは間違いない事実だ。私が自身の見た目を地味なものに装っているのもあって、目立たないのは当然のことだった。
「そうだったとしても溢れ出るものはあるだろう。俺からしてみると、こんなにも愛らしい存在を目にも留めないなど信じられないが」
「……そんな風に褒めても何も出ませんよ?」
「照れて益々可愛らしい姿を見れるだけで俺は満足だから気にするな」
「……そうですか」
「そうだ。もっと様々な姿を見たい」
ソルベシア様はそんなことを言って、心の底から楽しそうに笑っている。
……こういったどこか無邪気な様子が、精霊たちに気に入られる要素なのかしら。
『ソルベシア、凄く見る目ある! パルフィアは可愛いもん』
『ソルベシアにならパルフィアを任せてもいいかも!』
「……勝手にそんなことを言わないで」
精霊たちのはしゃいだ声を聞きながら、思わず返事をした。その後、ソルベシア様には精霊の声が聞こえないのだったとはっとしてしまう。
変に思われたりするのでは? と思ったけれど、ソルベシア様は益々笑みを深めていた。
「精霊たちが何か喋っているのか?」
「ええ。そうですわ。精霊達はソルベシア様のことを気に入っていらっしゃるようですの」
そもそも精霊たちにとってソルベシア様が興味惹かれる存在じゃなければ、私の前に連れてきてしまうこともなかっただろう。
彼等のお気に入りの人間だからこそ、ソルベシア様は此処までやってこれたと言える。
「それは光栄だな」
ソルベシア様はそう口にしたかと思うと、精霊たちの方を向いて言葉を発する。
「改めて、俺はお前達の愛するパルフィアと仲良くさせてもらうつもりだが、許可してもらえるか?」
精霊相手だというのにも関わらずソルベシア様は、何処か不敵な態度である。
例えば精霊たちから敵意を向けられたとしても、どうにでも出来るだけの力を持ち合わせているからなのかもしれない。
隣国最強の魔術師として名高いものね……。
『もちろんだよー。パルフィアはいつも一人で寂しそうだもん』
『ソルベシアなら、パルフィアのお友達になってあげられるはず』
……精霊たちの言葉、ソルベシア様に聞こえなくて良かったなと改めて思った。
だって私が友人の一人もいない寂しい人間だというのを、知られるのも何だか恥ずかしいもの。
友人がいないのは事実だけど!!
そもそもハウレワも義母も私の周りに人が居るのを気に食わないと思っているのだ。
私が少しでも目立つことをよく思っていなくて、私が辛い目に遭えばあうほど愉悦に浸る。
私が少しでも親しい人間を作れば、それだけで彼らは親しい相手に酷いことをしようとするだろう。
私が親しい人間を作らないのは、仲良くなった人たちが傷つけられないようにするためというのも大きい。……まぁ、作ろうとしても作れないというのも本当のことだけど。
ただソルベシア様ならば、例えば私が親しくしていることを知られたとしても問題ないのではないかという期待もあった。
ハウレワ達から何かちょっかいをかけられたとしても、ソルベシア様ならば気にしないだろう。
「……精霊たちは許可をすると言っておりますわ。それと、もし仮に私がソルベシア様と親しくしていることを知ったら、ハウレワや私の義母はあなたになにかするかもしれません。その時は迷わず私を切り捨ててもらって構いません」
「心外だな。俺が、その程度のことで臆するとでも?」
「いえ、そうは思っていませんが……ハウレワ達は私が目立つことを極端に嫌っていますから。自分よりも私が注目を浴びることをハウレワは本当に嫌がるんです」
私がそう言うと、ソルベシア様は「へぇ」と面白そうに笑う。
「そうなったらそうなったで望むところだ。どうにでもしてやる」
「……そうですか。でも一番は、バレないことですからね?」
「分かっている。パルフィアが望むなら、ばれないようにすることとしよう」
ソルベシア様はそう言って笑った。
――そして私はソルベシア様とまた会う約束をして、別れるのだった。
誰かと、次の約束をするなんて初めてだった。