京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
「でも、その割にはあんまり落ち込んでないよね。なにかあったの?」

 岩澤の鋭いツッコミに寧々は固まる。
 それを見た岩澤は「やっぱりなにかあったんだ」とにやにやしてきた。

「ちょっとね」
「そのちょっとが聞きたいんだけど?」

 岩澤だけではなく、先輩もじっと見つめてくる。これは、話さなければ今日は解放してくれないだろう。
 寧々は「実は……」と、この一週間の出来事をざっくりと話した。

「ええ! なにそのイケメンはんなり男子! 気になる!」

 岩澤は俄然伊織が気になったらしい。先輩も頷いて岩澤と一緒になって詳しく聞かせてくれとせがんでくる。
 伊織は名前しか教えてくれないのに優しくて、なぜか寧々のことを気に入ってくれているらしいことと、デート一回につき伊織のことを一つ教えるという約束を話した。

「話聞いてたらその人なんだかうさんくさくない? 篠原ちゃん騙されてないよね?」

 先輩は怪しげにそう言った。確かに客観的に見た伊織はそんな風に思われても仕方ない。だって、本当に怪しさしかない男だから。

「騙されてるなら、とっくにホテルに連れて行かれてると思いますよ。でも、篠原ちゃんは違うって言ってるし、なんなら健全な関係だから大丈夫なんじゃないですか?」
「まあ、岩澤ちゃんの言いたいことは分かるけど……」

 伊織のことを信じている寧々を、岩澤は信じてくれるようだ。心強い。
 そんな岩澤を見て、先輩も寧々に「いい関係築けてるならよかったよ」と微笑んでくれたのが嬉しかった。
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