京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 待ち合わせの場所に行き伊織の姿を探していると、彼の姿を見つけたが声をかけにくい状況だった。二人組の女性に囲まれているからである。最初は知り合いなのかと思ったが、伊織の様子から察するにそうではなさそうなのでどうしたものかと悩んでいたら、急に伊織と目が合った。
 すると、手招きされたので自分かどうか確認すると、何度も頷かれた。寧々はそろそろと伊織の元へ向かう。

「寧々ちゃん待ってたよ」

 女性達は寧々のことを訝しげに見てくるが、伊織は寧々に話しかけることをやめない。

「寧々ちゃん、聞こえとる?」
「あ、うん」
「おにーさん、この子だれ?」
「俺の連れやで、これからデートするんよ。せやから、お姉さん達離れてくれへん?」

 普段柔和な印象の伊織が、怒っている。
 それに気づいた女性達は、愛想笑いを浮かべながら去って行った。

「はあ、疲れた。無視しても話しかけてくるもんやから、うっとうしくて嫌やわ」

 ため息をついて苦笑する伊織はいつもの雰囲気に戻っていた。

「清水さん、待たせてごめんなさい」
「気にせんでええよ、俺が寧々ちゃんに会いたくて早くきただけやから」

 寧々は十五分ほど早く来た。
 しかし、伊織はそれよりも早く来たのだろう。早く来た理由も、寧々に会いたいからという、くすぐったい理由で。

「寧々ちゃんも俺に会いたいと思ってくれたんやね、嬉しいわあ」

 時計を見てまだ待ち合わせ時間になってないことに気づいた伊織にそう言われてしまった。恥ずかしい。

「そうだよ、悪い?」

 寧々が認める発言をすると、伊織は驚いたように瞬いた。
 すると、ふんわりと微笑んで「なんにも悪くあらへんよ」と柔らかい声で言ってくれた。

「ほな、行こか」
「……うん」
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