ガチ王子の友達教育係になりました。
さささっと、後ろの壁へ後ずさった。
ダークブロンドの短い髪に、うちの制服。手元のお弁当からは、とっても大きな伊勢海老がチラ見えしている。
うん、伊勢海老!?
ってあれ、どこかで見たことがあるような気がする。
というか、実在する人間……? と目を凝らしていたら。
「君は誰だ」
不意に、低く落ち着いた声がした。
「あ……私ですか? 1年3組の細松和歌音です」
まさか話しかけられると思ってなくて、ちょっとドキドキしながら答える。
「あ、ご、ごめんなさい。大声を出してしまって……」
「いや、謝罪は不要だ。君はここに、なにをしに来た?」
「え、えっと、お弁当を食べる場所を探しておりまして……」
予想外なことに、初対面の知らない生徒と会話が続いてしまっている。敬語になっちゃったけど。
初対面、ではあるはずなんだけど……やっぱり既視感は拭えない。
うーん、話したことは一度もないと思うんだけどなあ。
「すまない。自己紹介が遅れた」