孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする
シアは青い自転車に乗って帰り道にホースセンターの厩舎にいる馬達にも気持ちを惹かれた。

そこで働いている若い男性に

「こんにちは、私この近くに引っ越してきたものなんですが、ここの馬に乗れたりします」

「はい、もちろんです。トレッキングとか引き馬もやってますし、ここの乗馬クラブに入会するとチケット制ですので予約を入れて頂ければ好きな時に乗れますよ。入会金がいりますが…」

「馬には慣れているんですがもう三年ほど乗っていないので、ちょっと心配なんですが、それでも大丈夫ですか?」

「はい、とにかく一度乗ってみて貰えば技量もわかります。自転車と同じで一度乗れたら乗り方は体が思い出しますよ」

「あはは、ほんとですか?なら大丈夫かも」

「はい、障害のレッスンを受ける事も出来ますよ。外乗できる許可が下りれば森を抜けて湖まで行くトレッキングも楽しめます」

「じゃあぜひお願いします。今日はお金も何も持ってきていないので、また来週申し込みに来ます。何を持ってくればいいですか?」

「乗馬服は何でもいいんですが、ヘルメットと乗馬用ブーツは必要ですね。持っていらっしゃるなら持ってきてください。ヘルメットやプロテクターはこちらにあります」

「わかりました。パンフレット等あれば頂けますか?必要な物も書いてありますよね?」

「わかりました。ちょっと待ってて下さい。今取って来ます。僕はマイク・リードと言います。二十五歳です」

「うふふ、歳まで言うんですね?シア・ウイルソン同じく二十五歳です」

マイクはシアの笑顔を見てちょっと恥ずかしそうに”同じ歳か…“と呟いてパンフレットを取りに厩舎の方に走っていった。

シアは厩舎にいる馬を見たくてマイクの後を付いて行った。

その時その匂いに気付いた。

シアは植物にも力を発揮できるのだ。

動物と植物にシアの魔法が使える。

人間には半径五キロ以内にいる認識のある人にテレパシーが使える。

相手もある程度感受性のある人ならシアとテレパシーで会話もできる。

でも今の所会話ができるのは今一緒に住んでいる高校生のマギーとアメリカの大学にいる妹のリリーだけなのだが…

シアは魔法使いの家系に生まれた魔女で、そしてホーク家の最後の力のある魔女なのだ。

生れた時に両手に光をもって誕生したので、両親はジュノウをミドルネームに付けた。

魔法の力をもって生まれた子供にジュノウというミドルネームを付けるのが、ホーク家の先祖からの決まりだったらしい。

ホーク家は母の家系だ。母も少し魔力がある。

シアの魔女の力は十歳の満月の日に覚醒した。

そして自分の魔法が動物と植物に力を表すようだと知った。

テレパシーは母親が使えたので母親とはテレパシーで会話ができた。

また母親と同じようにホークアイも使える。

ホーク家は何百年も前は、王家の目として仕えたようだ。

鷹を介して鷹が見る物を共有出来るのがホークアイだ。

鷹だけでなく鳥なら大抵傀儡にできるのだが、頭のいい鷹とカラスをよく使役したらしい。

戦争時の敵の偵察や各貴族家の動向を見るのに使われていたようだ。

四歳下の妹のリリーは魔女の力はなかったが、気配を消す事ができた。

すぐ目の前に居てもリリーが気配を消すと見えなくなってしまうのだ。

だからかくれんぼをするとリリーに敵う者はいなかった。
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