孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする

戦いの後で

シアは目覚めると、ダルだけではなくてリリーもマギーもロナウドもみんな心配そうにシアが目を開けるのを待ってくれていた。

マギーは“シア~~”と言って抱き着いておいおい泣いている。

リリーも「姉さん…」と言って絶句している。

三年前の記憶が、今度はシアまで失うのではないかと恐怖させたのだろう。

リリーの顔は蒼白になっている。言葉も出ないようだ。

リリーには最後にテレパシーで隠家にリリーの新しい身分も用意してある事と、大事なものを裏の物置に隠したことも伝えたので、シアの覚悟を知り怯えていたはずだ。

それでもリリーはマギーを守るために、ロナウドと一緒に居てくれた。

リリーは大切なものは皆回収してきたとしばらくしてシアに伝えた。

シアとダルは少し前から今回のシュミレーションをしていたのだ。

シアはツタを自在に扱える練習をずっとしていた。

あの場所に誘い込めたらシア達に勝機があると思っていた。

でもシャドーの人数が多ければこんなに上手くはいかなかっただろう。

車は一台で、乗ってきたのが三人だけだったのがシア達にはラッキーだった。

その上運転手は何もわからない下っ端の若造だった。

女一人捕まえるのに、三人で充分だと思ったのだろう。

ダルとシアはそんなに大勢で来るはずがないと思っていたのだ。

そこまで計算していた。

それ以上の人数になればダルも何か武器になる物を持ち出すつもりだった。

シャドーの内一人は銃を持っていたのだ。

ただ取り出す暇がなかっただけだ。

ダルは今回は自分の見通しが甘かったのだと、シアに謝った。

昨日設計事務所の男が携帯で連絡していたのをシアに言わなかったのだ。

今日ロンドンで対応を協議してからシア達に話すつもりだったのだ。

でもシアはなんとなく昨日の設計事務所の男から嫌な雰囲気を感じたので、警戒は怠らなかった。

ロンドンからはダルに連絡が入り、設計事務所の男は一味の黒幕も組織の規模、研究所の場所等すべて吐いたようだ。

その男はかなり上の方の立場だったのだが、司法取引に応じたらしい。

シアの事情聴取も翌日行われた。

シアは携帯で男たちの話も録音しておいたので、両親の死についても追及してくれると言った。

シャドーが殺人にも関わっていたのは間違いないだろう。

シア達の両親だけでなく多くの人が亡くなっているはずだ。

それもすべて警察が調べてくれるなら亡くなった人達もその家族も浮かばれる。

それから二週間後シアとリリーはマギーも連れて両親が亡くなった所に花を手向けに行った。

そして両親が埋葬されているだろう共同墓地にもお参りに行った。

これでシアもリリーも、両親の死に一区切りつける事ができると思った。
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