孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする
ダルは素早くシアに歩み寄ると力いっぱい抱きしめた。

「ダル、痛いわ」

「ごめん、すごいなシア。練習したとおりにできたじゃないか。こいつらぐるぐる巻きになってる。車まで…」

そう言って車を覗くと中には手錠が用意してあった。

チクショーこいつらシアに手錠をかけるつもりだったんだ。

「シア、この車のツタを外してとにかく警察が来るまでにこの状態は何とかした方がいいだろう。シアの能力は知られない方がいい」

シアは車に巻き付くツタを森に帰した。

ダルはドアを開けて助手席にあった手錠で運転席の男の腕をハンドルに固定した。

運転席の男は呆然としていてダルに抵抗もしなかった。

ダルは男の顔面を肘打ちしてやった。

さも偶然に当たったように見せかけて…

男は気を失った。頬骨が折れているかもしれない。

正当防衛と言う事で勘弁してもらおう。

そして外の二人は脚に男のベルトを外して縛り、ネクタイで後ろ手に腕を縛った。

ギャーギャーうるさいので、車の中にあったタオルで口を縛っておいた。

シアはツタは全て森に戻した。

グッドタイミングで警察の車が二台来てくれた。

警察官はロンドンの方からすべて聞いているので、彼らをロンドンに護送すると言って三人に手錠をかけてパトカーに乗せた。

シャドーの車は一人の警察官が運転していった。

シャドーがみんな連れて行かれたのを見届けて、シアはくずおれた。

ツタを自在に動かすのに力を使ったので、体力切れになったらしい。

ダルはシアを抱きとめて、車に乗せ家に連れて帰った。

リビングのソファーにシアを寝かせて頭の下にクッションを当てて、毛布を体に掛けた。

二人の訓練でも力を使いすぎて倒れてしまった事があったので、ダルは二~三時間ほど眠れば起きてくれると分かっていた。
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