君と見つけた、私の色
家に着いたのは、午後十時を過ぎていた。

「ただいま」

小さく呟いて、靴を脱ぐ。
もう家の中は静かだった。
鞄を置いて、制服のまま自分の部屋へ向かう。

疲れた。
ただ、それだけだった。
ベッドに座ってスマホを開く。
部活のグループラインに、今日の練習動画が送られていた。

再生する。
音楽が流れて、みんなが踊り始める。
揃ってる。
さっきまで何度も繰り返した振りが、ちゃんと揃っている。
なのに。

「……私だけ、ズレてる」

動画の中の自分を見る。
みんなと同じ振りをしているはずなのに、ほんの少し遅い。
腕の高さも違う。
動きも小さい。
笑えてない。

何度見ても、そこばかり目についた。
一度停止して、最初から再生する。

やっぱり。
もう一度。

私だけズレてる。

みんなはちゃんとできてる。
私だけ、できてない。
私だけ、下手くそ。

胸の奥が、また痛くなる。
今日言われたことが、頭の中で何度も繰り返される。

『なんでできないの?』

『もう2年生なのに。』

もっと練習しなきゃ。
もっと頑張らなきゃ。
そう思うのに、体が動かなかった。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop