夫が出戻りの幼馴染と「焼け木杭に火がついた」と浮気していたので、そのまま燃やしてしまってもいいですよね?
 私は冒険者じゃない。
 しかも魔法は父から強く禁止されている。

 だけど……こんな状況で、しかも周りには貴族など誰もいない。
 私が魔法を使ったところで、バレやしないはず。

 一度くらい好きにしたって、いいわよね。
 今までずっと、いいつけを守ってきたのだから。

「加勢します!」
「加勢って、お嬢ちゃん……」

 やや焦ったような冒険者の言葉を聞く前に、すでに私は呪文を唱え始めていた。

 幼い頃、何度もこっそりと練習した呪文。
 これだけしか使えないけれど、でも自身はある。

 呪文に呼応するかのように、突き出した手のひらに炎が生まれ、それはどんどんと大きくなる。

 そして人の頭の二倍ほどなった瞬間、合図を見計らったように冒険者の一人が声を上げた。

「引け!」

 その言葉に、剣でモンスターに戦いを挑んでいた冒険者たちは一気に離れていく。

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