夫が出戻りの幼馴染と「焼け木杭に火がついた」と浮気していたので、そのまま燃やしてしまってもいいですよね?
「ファイアー!」

 両手で輪を作ってもさらに大きな火の玉が、一気にモンスターへ。
 避けようとしてもそのスピードと威力に、成すすべはない。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉん」

 私の放った炎は大きな火柱を上げた。

「おお」

 我ながら完璧すぎじゃない?
 もうこれは冒険者の仲間入りでもおかしくないんじゃない?

 そんな風にやや興奮しながら見ていると、急に別の魔法が私の真後ろから放たれった。

「ウォーターボール!」

 彼が放った魔法は、一気に私の炎を打ち消す。
 それでもモンスターが丸焦げになったことには変わりなく、効果はただの消火でしかない。

 私は振り返らずとも、そこに誰がいるのか理解出来た。

 誰もいないと思ったのに、失敗したわね。
 ここは一先ず、知らないフリして逃げた方が……。

「おい、アリア」

 冒険者たちに紛れて逃げようとした私の肩を、後ろからガッチリと掴まれる。
 その声はどこまでも低く、怒っていることだけは分かった。

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