雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
「……成績トップがまだ残っているのか?」
「あー、その子ですか。実はその子、満点だったんですよ。模範解答と言っていいくらいですね」
「ほう。それは興味深いな」
第一級文官試験は様々な科目を組み合わせて思考力を問う総合問題だ。満点を取るためには複数の科目で深い知識を持っている必要がある。
合格者情報の名前を確認すると、エノレア・グレイと書いてある。出身地は辺境の村だ。
「グレイ? 聞いたことがない家門だな。一体、何者だ?」
レニオスはエドガーに尋ねる。
「それが、貴族ではないようで、情報がないようです」
「貴族ではない……。ロイヤルアカデミーの出身者か?」
「いえ、それも違いました。履歴書には村立学校出身と──」
レニオスは眉間のしわを深くする。
第一級文官試験の受験資格に学歴は問わないが、ほとんどの受験生がリーヴ一の名門校であるロイヤルアカデミー出身、しかもその中でも成績優秀者ばかりだ。
村立学校出身となると、高等教育すら受けていないことになる。
「不正の可能性は?」
「当初疑われて散々調べましたが、不正をした証拠はありません」
「問題流出は?」
「絶対にありません」
エドガーは強く否定する。
「なるほど。ではこの受験生は、類いまれなる優秀な人材である可能性があるということだな?」
「まあ、そうではあるのですが、見つからないように不正したという見方がほとんどです。だから未だに、どこの宮からもスカウトが入っていないんですよ」
エドガーは肩を竦めた。