雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
「ふむ、そうか」

 レニオスはゆっくりと椅子にもたれた。
 第一級文官試験で満点を取った、高等教育もうけていない田舎出身の平民の女。周囲から不正をしたと疑われるのも当然だ。

(だが、面白い)

 どんな方法を使ったのかは知らないが、その女が第一級文官試験で最高得点を取ったことは疑いようのない事実だ。
 もし不正をしたのであれば、すぐに斬り捨てればいい。

「その女を、青嵐宮で採ろう」
「ええ、本気ですか? きっと不正ですよ」
「使えなければクビにするだけだ」

 レニオスはふっと口の端を上げた。

  ◇ ◇ ◇

 合格発表の日、王宮前は大勢の受験者で賑わっていた。
 皆が固唾を飲んで見守る中、掲示板に名前が張り出される。

「やったぞー!」

 喜びの雄たけびを上げた者がいたと思えば、別の場所からは悲鳴が聞こえる。 

「くそっ! 落ちた!」
「また来年か」

 悲喜こもごもの反応を示す受験生に混じり、エノレアも自分の名前を探そうとしていた。

「全然見えないわ」
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