雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

「随分と激しく降っていますね。殿下の帰りの足に影響しなければいいのですが」

 激しく降り注ぐ雨は、まるで白い線のように見えた。
 これでは御者がうまく馬を操ることができないだろう。それに、長時間この大雨が続けば道がぬかるんで通れなくなるかもしれない。

「ここでやきもきしても天気は変わらない。説明を続けてくれ」
「はい、かしこまりました。こちらの機械ですが──」

 工場長は気を取り直して、再び話し始める。それに聞き入る間も耳に入るのは、建物を打ち付ける雨音だ。

(大雨も、当たったな)

 本当に天気を読むとは。
 どれだけ才能を隠しているのかと空恐ろしい。

(彼女は一体、何者なんだ?)

 とてもただの村娘だとは思えない。
 結局、大雨が止むのを待ってから帰宅したため、レニオスは二時間近い時間を無駄にする羽目になった。

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