雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

「あの男、つくづく邪魔だな」

 レオナルドはぼそりと呟く。

 第二王子はレオナルドと同じ母親から生まれた弟で、基本的にレオナルドに歯向かうことはない。そして、第四王子は元々芸術の世界を目指しており王座に興味がなく、第五王子は歳が離れているのでまだ政治のイロハを習得できていない。

 つまり、現時点でレオナルドの最大にして最強のライバルはレニオスであり、彼さえ排除すれば王座は決まったも同然だ。

「おい。そこのお前」

 レオナルドは近くにいる文官に呼びかける。

「はい」

 呼ばれた文官はすぐに近寄ってきた。

「お前はたしか、昨年の第一級文官試験でトップ合格した秀才だったな? そんなお前に問う。次の国王になるのは誰だ?」
「それはもちろん、レオナルド殿下でございます」

 文官は一切淀みのない口調で答える。

「ああ、当然だ。ところで、俺が王座に上がるに当たって邪魔になりそうな弟がひとりいるとは思わないか? あいつを、消してこい」
「消す、とは……」

 文官は戸惑い気味に聞き返す。

「察しの悪い男だ。秀才というのはでまかせか? わからないなら、よくわかるようにお前をまず消してやろうか?」
「いえっ! 謹んでお受けします」

 文官は真っ青な顔をしたまま、頭を下げる。

「頼んだぞ。期待している」

 レオナルドはにっと口の端を上げた。
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