雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

 そう言いながら、エドガーはエノレアとオリバーの執務机を見る。資料が山積みになっているオリバーの机に対し、エノレアの机は整然としていた。

「オリバーはやるべき仕事がだいぶ残っていそうですね。今日はエノレアが同行してください」
「はい」
「……はい」

 はきはきと返事したエノレアに対し、オリバーはがっかりと項垂れる。

「いいなあ、エノレア」
「次回はオリバーに譲るわ」
「うん、ありがとう。まずはこの仕事を終わらせるよ」

 オリバーは目の前に山積みになった書類を恨めし気に見る。

「楽しんできてね」
「ええ。しっかり勉強してくるわ」

 エノレアは拳を握って頷く。
 今日レニオスが視察を予定しているのは、数か月後に竣工を控えた橋梁の工事現場だ。この橋ができると、青嵐宮治めている地域と王都との交通の便が格段に向上するはずだ。

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