雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

 レニオスを狙っているとすれば、黒幕として可能性が高いのは他の王子、もしくはほかの王子を支持している高位貴族あたりだ。
 自分たちの立場を守るために、ぼろを出さないよう細心の注意を図るだろう。

「青嵐宮が総力を挙げてもなんら犯人の手がかりを掴めないとすると、黒幕はほかの王子もしくは高位貴族の可能性が高い。だが、その場合非常に厄介だな。国家諜報院が使えない」
「はい。国家諜報院は各宮の息がかかった者が多数おりますからね」

 エドガーは神妙な面持ちで頷く。

「外部機関を使うか? フォレストはどうだろう?」
 
 フォレストとは、どの国にも属さない世界最高の諜報機関だ。いったん仕事を受ければ、たとえターゲットがどんな相手でも、懐に入り込んであらゆる情報を引き出してくる。

「フォレストですか。悪くはないと思いますが、彼らが受けてくれるでしょうか?」

 エドガーは眉根を寄せる。
 フォレストに依頼を受けてもらうのは、非常にハードルが高い。それは単に金額が桁違いであるというほかに、彼ら独自のポリシーが原因だ。

 彼らは受ける価値があると判断したミッションしか受けないのだ。このポリシーはかなり徹底されており、たとえ依頼者が王族であろうと断られることが多い。

「受けるかどうかは向こうの判断だから、なんとも言えないな」
「ダメ元で依頼するだけしてみましょう。並行して、我々での捜査も続けます」
「ああ、頼む」
「それと、大変申し上げにくいのですが──」
「申し上げにくいことを聞く気はないぞ」
「いえ、聞いてください。ロングレイン侯爵令嬢を青嵐宮に受け入れるべきです」
「なんだと?」

 レニオスはエドガーをぎろっと睨む。

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