世界で1番近い君と、1番遠い初恋
誰も好きじゃないんじゃない。
逆だ。
私には、幸平以外の男の子を好きになる余白なんて、1ミリも残っていないのだ。
男子たちからのアプローチを冷たく断り続けるうちに、いつしか学校内で私は『高嶺の花』だの『誰も寄せ付けない冷酷な女子』だのと言われるようになった。
男子を振り回していると勘違いした女子たちからも「気取っている」「愛想がない」と遠巻きにされ、中学時代の私はどこか浮いた、孤立した存在になっていった。
それでも、寂しくなんてなかった。
一人で帰る夕暮れの下校路、スクールバッグの奥にこっそり忍ばせている星のキーホルダーを指先でそっと撫でる。
(私には、幸平がいる。幸平と約束したんだから)
どれだけ周囲に冷たい壁を作ろうと、どれだけ「一途すぎて重い」と笑われようと、どうでもよかった。
私の中の''一番''は、あの4年生の夏の日から一歩も動いていないのだから。