1ビットも変わらない世界で。

遠くの街灯のまたたきは、
4Kの画質で網膜に突き刺さる。
それなのに、足元の水たまりに映る自分の顔は、
いつだって擦り切れたVHSの映像みたいに
ひどく不鮮明だ。

世界は残酷なほど、非対称にできている。

他人の嫌なところ、浅ましさ、隠しきれていない嘘。
そういうものは
頼みもしないのに望遠レンズで覗いたみたいに
毛穴のレベルで解像度が高く見えてしまう。

“もっとこうすればいいのに”
“どうして自分のダメなところに気付かないんだろう”

心の中で吐き捨てる言葉は、
どれも正論の形をしたナイフだ。

だけど、そのナイフの矛先を
いざ自分に向けようとした瞬間、
手元は急に霧に包まれる。

自分の欠点、自分の歪み。
見ようとすればするほど
ピントが外れ、輪郭がぼやけ、
都合のいい言い訳のフィルターが
何重にもかかってしまう。

一番変えたいはずの自分自身が、一番見えにくい。
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