『みすとら』 不思議な恋の物語
ユキの回想
わたしが職員室の前を通りかかったときなんだけど、にゅばっと、校長先生が現れたの。
てててて~と近づいて来て、ものすごい勢いで話し始められたのよ。
もう、逃げられないわよね。
「これは、これは、美雪さん。おはようございます」
「おはようございます・・・」と私は、仕方なく話をする覚悟を決めたわけよ。
「あいかわらず、可愛らしい。さすが我が学園の生徒です」
「ありがとうございます・・・」と言うしかないでしょ?
「・・・」校長は、突っ込まずにはいれない服装をしていたんだけど、自分からは何も話し始めないわけよ。
たぶんその沈黙は、服装に触れてくれという合図だと思ったから、仕方なく服装の話を始めたわけよ。
「あら? 校長先生。素敵なお帽子ですね」この一言がマズかったわ。校長先生が食いついたの。
「そ~なんです! 分かりますか~? 流石ですね~。これはアラビアのクーフィーヤなんですよ~」顔に似つかわしくないまつ毛がピクピクしていたの。
「白地なのに、ピンクのハートが素敵です」
「特注で作らせました~。ここに気付くなんてさすがですね~」
「個性的で素敵です~」と、笑顔を引きつらせながら誉めはしたけどね~。校長のグイグイ突っ込んでくる性格は、やっぱり苦手だわ~。
「ターバンは布が固まっているのに対して、クーフィーヤは布が固まっていません。ですから首筋まで日差しから守ることが出来ます。もっとも、日本の日差しはそれほど強くはありませんが・・・」
「(なら、そんなもん被んなっつ~の)」と、心の中で思っていたけど言えないわよね。
「勉強になります・・・」と、一応は答えたの。だけど校長は、目をぱちぱちさせながら、会話の続きを欲しがっていたの。だから仕方なく、
「今日はとても暑いですね~。毛皮は暑くないですか?」と聞いたら、校長は得意気に言ったの。
「んっふ~、良い質問です。これはイヌイットが着るアノラットなのです。世界一の防寒着なのです。この暑い日に敢えて防寒着を着る! 暑さに堪えて涼しい顔をしている私は凄いのです! これぞ、まさしく英国紳士の伊達気風(ダンディズム)なのです!」
「(あっちゃ~。本気で言っているのかしら? あなたは純粋な日本人じゃないですか~)」と思いながらも、
「校長先生の振舞い方は、現代人の鑑(かがみ)です。みんなも真似するべきです」と付け加えたの。分かるでしょ? だけど会話は終わらなかったの。目をぱちぱちさせているから仕方なく言ったの。
「下はスカートなのですか? アボリジニの衣装でしたっけ?」
「んっふ~、違います。これはマオリの民族衣装のピウピウです。アボリジニはオーストラリアの先住民ですが、マオリはニュージーランドの先住民なのです」
「勉強になります・・・」って、たじたじしながら会話を続けたの。
「都会のど真ん中で、こんな格好をしているのは私だけです!」
「(そら~、そうでしょう)」
「非日常的経験! 大都会の中での開放感! 他人とは異なる圧倒的かつ、個性的な生き方の追求~~~! この学園の中だからこそできる素晴らしい体験です。存分に楽しみましょう!」と言って、スッキリした、にこやかな顔つきになったのよ。そして思い出したように時計を見て、ワザとらしく慌てるの。
「あ! こんな時間です! 行かなければ! それでは、全校集会で会いましょう!」と言って、校長はスキップしながら行ってしまったの。あれだけ個性的な服装をしているのに、時計は3,000円ほどの安物なのよね~。
「(ありゃ~、大丈夫かしら? この学園(がっこう)・・・)」と、少し将来が不安になった自分がいたわ。
てててて~と近づいて来て、ものすごい勢いで話し始められたのよ。
もう、逃げられないわよね。
「これは、これは、美雪さん。おはようございます」
「おはようございます・・・」と私は、仕方なく話をする覚悟を決めたわけよ。
「あいかわらず、可愛らしい。さすが我が学園の生徒です」
「ありがとうございます・・・」と言うしかないでしょ?
「・・・」校長は、突っ込まずにはいれない服装をしていたんだけど、自分からは何も話し始めないわけよ。
たぶんその沈黙は、服装に触れてくれという合図だと思ったから、仕方なく服装の話を始めたわけよ。
「あら? 校長先生。素敵なお帽子ですね」この一言がマズかったわ。校長先生が食いついたの。
「そ~なんです! 分かりますか~? 流石ですね~。これはアラビアのクーフィーヤなんですよ~」顔に似つかわしくないまつ毛がピクピクしていたの。
「白地なのに、ピンクのハートが素敵です」
「特注で作らせました~。ここに気付くなんてさすがですね~」
「個性的で素敵です~」と、笑顔を引きつらせながら誉めはしたけどね~。校長のグイグイ突っ込んでくる性格は、やっぱり苦手だわ~。
「ターバンは布が固まっているのに対して、クーフィーヤは布が固まっていません。ですから首筋まで日差しから守ることが出来ます。もっとも、日本の日差しはそれほど強くはありませんが・・・」
「(なら、そんなもん被んなっつ~の)」と、心の中で思っていたけど言えないわよね。
「勉強になります・・・」と、一応は答えたの。だけど校長は、目をぱちぱちさせながら、会話の続きを欲しがっていたの。だから仕方なく、
「今日はとても暑いですね~。毛皮は暑くないですか?」と聞いたら、校長は得意気に言ったの。
「んっふ~、良い質問です。これはイヌイットが着るアノラットなのです。世界一の防寒着なのです。この暑い日に敢えて防寒着を着る! 暑さに堪えて涼しい顔をしている私は凄いのです! これぞ、まさしく英国紳士の伊達気風(ダンディズム)なのです!」
「(あっちゃ~。本気で言っているのかしら? あなたは純粋な日本人じゃないですか~)」と思いながらも、
「校長先生の振舞い方は、現代人の鑑(かがみ)です。みんなも真似するべきです」と付け加えたの。分かるでしょ? だけど会話は終わらなかったの。目をぱちぱちさせているから仕方なく言ったの。
「下はスカートなのですか? アボリジニの衣装でしたっけ?」
「んっふ~、違います。これはマオリの民族衣装のピウピウです。アボリジニはオーストラリアの先住民ですが、マオリはニュージーランドの先住民なのです」
「勉強になります・・・」って、たじたじしながら会話を続けたの。
「都会のど真ん中で、こんな格好をしているのは私だけです!」
「(そら~、そうでしょう)」
「非日常的経験! 大都会の中での開放感! 他人とは異なる圧倒的かつ、個性的な生き方の追求~~~! この学園の中だからこそできる素晴らしい体験です。存分に楽しみましょう!」と言って、スッキリした、にこやかな顔つきになったのよ。そして思い出したように時計を見て、ワザとらしく慌てるの。
「あ! こんな時間です! 行かなければ! それでは、全校集会で会いましょう!」と言って、校長はスキップしながら行ってしまったの。あれだけ個性的な服装をしているのに、時計は3,000円ほどの安物なのよね~。
「(ありゃ~、大丈夫かしら? この学園(がっこう)・・・)」と、少し将来が不安になった自分がいたわ。