ノースポールの花が咲く前に〜ルーチェと光〜
(クラル様、今頃何してるのかな……)

自分がいないことを心配していないか。探し回っていないか。色んなことを考え、心配が込み上げる。

「クラル様……」

ルーチェは心の中で強く想う人の名を呼ぶ。少し冷たい夜風が、ルーチェの髪を撫でていった。刹那。

「ルーチェ」

名前を、呼ばれた。聞き慣れた大切な人の声である。ルーチェの胸が跳ね、頰に熱が集まっていく。

(まさか、そんなはずない……!きっと幻聴じゃ……!)

期待と不安が混じる中、ルーチェは意を決して振り返る。そこには、この世界にいるはずのないクラルが立っていた。月の真下、優しい笑みを浮かべている。

「ルーチェ。見つけた」

「クラル様……?えっ?本物?」

驚くルーチェに対し、クラルはクスッと笑った後、ゆっくりと近付いてくる。クラルの手がルーチェを撫でた。よく知るクラルの手である。

「僕は本物のクラル・ディスペアだよ。ルーチェを迎えに来たんだ」
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