一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます

 普段は口が悪くて、余計なことばかり言って、私をからかって楽しんでいるくせに。
 こういうところだけは、昔から変わらない。
「それに」
 たっちゃんが続ける。
「俺は前から、お前のことをこいつに話しとったからな」
「私のこと?」
「ああ。釣りや山に行ったときにな」
 私は驚いて湊さんを見る。
「結婚相談所で、ようさん人を成婚させとるのに、自分の結婚は後回しやろ」
「……それは仕事だから」
「わかっとる」
 たっちゃんが笑う。
「せやけど、姪っ子やからってだけやないで。お前、そこそこやろ?」
「そこそこって何よ」
「彼氏の一人や二人おっても不思議やないのに、って、前から心配しとったんや」
「……」
 返す言葉がなくなる。
 確かに、たっちゃんには昔から何かと心配をかけてきた。
 私が仕事ばかりしていることも。
 休日に家で漫画ばかり読んでいることも。
 そして、自分の恋愛や結婚を後回しにしていることも。
 たっちゃんからすれば、姪っ子の将来が心配だったのだろう。
「一度、写真も見せてたしな」
「……写真?」
 思わず湊さんを見る。
「見せてもらいました」
 湊さんがあっさり答えた。
「いつ?」
「前に一度。いつだか忘れたわ」
 私は目を瞬いた。
 ということは、この人は今日初めて私を見たわけじゃない。
 たっちゃんから私の話を聞いて、写真まで見ていた。
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