一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
私が一か月を過ごすためだけに用意された部屋。
そのことが、ありがたいような、申し訳ないような気持ちにさせた。
「じゃあ、俺は仕事に戻るから」
「え?」
顔を上げる。
「このあと、打ち合わせがあるから」
そういえば、今日は仕事の途中で私を迎えに来てくれたのだった。
自分のことばかりで、すっかり忘れていた。
「夜の七時くらいには帰れると思う」
「わかりました」
「何か必要なものがあったら、連絡して」
「はい」
湊さんはそう言うと、一階へ降りていった。
私はサンちゃんを抱いたまま、そのあとを追う。
一階へ降り、玄関まで行くと、湊さんが靴を履いていた。
「じゃあ、行ってくる」
「はい。いってらっしゃい」
そう答えると、湊さんが少しだけ笑った。
それから玄関のドアが閉まった。
カチャン、と小さな音がして、湊さんの気配が遠ざかっていく。
静かになった家の中で、サンちゃんが私の腕の中でもぞもぞと動いた。
「……行っちゃったね」
思わず、そんな言葉が口からこぼれた。
自分でも少しおかしいと思う。
ほんの少し前まで、一人になれることに安心していたはずなのに。
私はサンちゃんを床に下ろした。
するとサンちゃんは、嬉しそうに尻尾を振りながら、私の足元をくるくると回る。
「短い間だけど、よろしくね」
しゃがみ込んで頭を撫でると、サンちゃんが私の手をぺろりと舐めた。
「ふふ。よろしく」
小さな舌が手のひらに触れて、思わず笑ってしまう。
さっきまで感じていた心細さが、少しだけ薄れた気がした。
そのことが、ありがたいような、申し訳ないような気持ちにさせた。
「じゃあ、俺は仕事に戻るから」
「え?」
顔を上げる。
「このあと、打ち合わせがあるから」
そういえば、今日は仕事の途中で私を迎えに来てくれたのだった。
自分のことばかりで、すっかり忘れていた。
「夜の七時くらいには帰れると思う」
「わかりました」
「何か必要なものがあったら、連絡して」
「はい」
湊さんはそう言うと、一階へ降りていった。
私はサンちゃんを抱いたまま、そのあとを追う。
一階へ降り、玄関まで行くと、湊さんが靴を履いていた。
「じゃあ、行ってくる」
「はい。いってらっしゃい」
そう答えると、湊さんが少しだけ笑った。
それから玄関のドアが閉まった。
カチャン、と小さな音がして、湊さんの気配が遠ざかっていく。
静かになった家の中で、サンちゃんが私の腕の中でもぞもぞと動いた。
「……行っちゃったね」
思わず、そんな言葉が口からこぼれた。
自分でも少しおかしいと思う。
ほんの少し前まで、一人になれることに安心していたはずなのに。
私はサンちゃんを床に下ろした。
するとサンちゃんは、嬉しそうに尻尾を振りながら、私の足元をくるくると回る。
「短い間だけど、よろしくね」
しゃがみ込んで頭を撫でると、サンちゃんが私の手をぺろりと舐めた。
「ふふ。よろしく」
小さな舌が手のひらに触れて、思わず笑ってしまう。
さっきまで感じていた心細さが、少しだけ薄れた気がした。