一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます

4 初デート

 目覚ましが鳴るより先に、目が覚めた。
 ……眠い。
 目を開けた瞬間から、頭がぼんやりしている。
 昨夜はなかなか眠れなかった。
 今日は休日。湊さんと出かける。
 ただ、それだけのことなのに。
 私はベッドの中で天井を見上げ、小さく息を吐いた。
 昨日の夜から、何度も考えていた。
 明日は何時に起きればいいんだろう。
 どこへ行くんだろう。
 何をするんだろう。
 そして――何を着ていけばいいんだろう。
 考え始めると、次から次へと疑問が浮かんできて、結局なかなか眠れなかった。
 考えてみれば、これが私にとって初めてのデートだった。
 誰かと付き合ったこともなければ、もちろん恋人と出かけた経験もない。
 まして、男性と二人で休日を過ごすこと自体が初めてなのだ。
 ……それなのに、どうしてこんなに落ち着かないんだろう。
 そもそも、どこへ行くのかはまだ聞いていない。
「一日空けておいて」
 湊さんにそう言われただけだ。
 一体、何を着ていけばいいんだろう。
 私はベッドから起き上がり、クローゼットの前に立った。
 扉を開けた途端、並んだ服が目に入る。
 いつもなら、迷うことなんてない。
 仕事の日なら動きやすさを優先するし、会員さんと会う予定が多い日は、きちんとした印象になる服を選ぶ。
 仕事なら、こんなことで悩まない。
 会員さんからデートの服装について相談されれば、相手との関係や行き先、季節、会う時間帯まで考えて、似合うものをいくつか提案できる。
 なのに、自分のこととなると――。
 まるでわからない。
「……私、ほんとにカウンセラーなのかな」
 思わず呟いてしまう。
 クローゼットを開け、服を見渡した。
 カジュアルすぎるのも違う気がする。
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