氷の君に、恋の歌を。
電車の到着音が近づいてくる。
もう本当に、行かなきゃいけない。

蓮斗は最後に、乃愛の手をやさしく握り直した。

「次の休みも、空けとけ」

「えっ」

「デートする」

命令みたいなのに、そこにちゃんと甘さがある。
乃愛は照れながらも、こくんとうなずいた。

「うん」

「それまで、ちゃんと俺のこと考えてろ」

「それはもう考えちゃうよ……」

小さく返すと、蓮斗は満足そうに目を細めた。

「ならいい」

夜の駅。
別れ際のさみしささえ、今は次の約束に変わっていく。
離れる時間があるから、また会える時間がもっと特別になる。
そんなふうに思えるくらい、ふたりの恋はやさしく深く育っていた。
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