氷の君に、恋の歌を。

第十七章

次の休みの日。
乃愛は朝からずっと鏡の前で落ち着かなかった。

いつもの制服じゃない。
放課後の教室でもない。
今日は蓮斗と、少し背伸びしたおしゃれな場所に行く約束をしている。

前に駅で、次の休みも空けとけって言われたときから、ずっと楽しみだった。
でも楽しみなぶん、緊張も大きい。

服も髪も、何度も確認してしまう。
変じゃないかな。
頑張りすぎて見えないかな。
そんなことばかり気にしていると、待ち合わせの時間になった。

駅前で待っていると、蓮斗が歩いてくる。
その姿を見た瞬間、乃愛の心臓がまた速くなった。

「おはよう」

「お、おはよう」

顔を上げたまま固まる乃愛を見て、蓮斗が少しだけ目を細める。

「今日もかわいい」

「っ……!」

会ってすぐそれは反則だ。
まだ何も始まっていないのに、もう胸がいっぱいになる。
< 100 / 114 >

この作品をシェア

pagetop