不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
「ごめんね、待ったよね」

「女子更衣室は教室から遠いですし、お気になさらず」

「臼井もきたし、さっさと食べよーぜ」


朝比奈くんは早速ビニール袋に入ったパンを机の上にこれでもかと並べ、すごい勢いで食べていく。
なんでも家がパン屋さんをやっているとのことで、試作品やら形が歪なものやらを昼ごはんとして持ってきているらしい。
私にも「これ食えよ」と桃のデニッシュらしきパンを机にのせてくれて、大吉くんには少し形の崩れたカレーパンを渡していた。

私も席に座り、鞄の中からお弁当の包みを取り出す。
今日はお手製のガリガリ衣の竜田揚げが入っているので思わずニンマリ。


「いっただっきまーす!」


絶対に落とさないよう、ぐっさりと箸で竜田揚げをぶっ刺して口に頬張った。うん、おいしい。


「ところで朝比奈くん、先程の願いの件ですが…」

「ぶふっ!」


忘れようとしていたところで、大吉くんが話を巻き戻してくる。
思わず口に含んだ竜田揚げを吹き出してしまい、朝比奈くんの顔にカスがかかってしまった。スカートのポケットからハンカチを取り出して朝比奈くんに渡せば、何も言わずにそれを引ったくって顔を拭いていく。


「大丈夫ですか?ふたりとも」

「何やってんだよ臼井…ったく」

「ごほっ!ごほっ…ほんとごめん…」


ぺいっ、とハンカチを投げて返されたところで、朝比奈くんは「さっきの願いはマジだぜ」とあんぱんをかじるものだから私は大きくため息をついた。
大吉くんはというと、顎に手を当てて卵焼きをゆっくりと咀嚼している。


「そうですか…それなら僕も覚悟するしかないですね」

「え、えぇ……」

「臼井さんもですよ?」

「でも……私…」


お弁当箱の隅っこにあるブロッコリーを突きながら、ちらりと朝比奈くんを見た。


「……別に…えらくないから舎弟とかいらないし」

「なんでだよ!お前このクラスのNo.2だぞ!」

「僕は委員長でボスってことになってますね」

「お前らの下につかせてくれ!頼む!」


そんなにお願いされても……というかおかしくない?
あくまでも私たちはクラス委員長と副委員長というだけの話であって、舎弟云々のアレではないはずだけれど…なぜこんな展開になっているのだろうか。

というか、私をNo.2として敬えるのか、朝比奈くん!?


「僕は構いませんよ、友達みたいなものでしょう?」

「違うと思うけど!?」

「そんなもんだ、ちょっと俺に命令してくれりゃいいだけのダチだぜ!」

「それって友達なのかなぁ?!」
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