不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
ピリッとした空気が東総長と大吉くんの周りを包む。
静まり返る教室内。誰もがふたりに注目していて、私は大吉くんの背中に隠れたままどちらかが話し出すのを待つしかなかった。
「まあいいよ。君の友人だとしても『姫』のことは諦めないからね。恋をするのに許可はいらないだろう?」
「…遠くから眺める恋ならいいんじゃないでしょうか」
「ふふ、今日はそろそろ帰ろうかな。チャイムも鳴るしね。じゃあ『姫』、今度ゆっくりお喋りでもしよう」
「臼井さんはお断りします、と言っています」
大吉くんとの意思疎通。その通りだったので何も言わないでおく。
東総長はそのまま教室を出て行ったみたいで、一気に張り詰めていた空気が柔らかくなった。アラクレクラスメイトが大吉くんを囲むように……ということは私の周りにも集まってくることになるのだけれど、口々に「総長相手にあんだけ言い合えるとはさすがボス!」と称賛の声を上げた。
私もようやく大吉くんの後ろから自分の席に戻り、腰を下ろす。ドッと疲れたような気がするのは、気のせいなんかじゃない。
「No.2も目をつけられるなんてな…」
「まさか『姫』候補にされるなんて」
哀れみの目を向けないでほしい……ここでも不運パワーが発動してしまった自分が悔しい。こればっかりは、どうしようもないのだけれど。
「臼井さん、大丈夫でしたか?」
「全然大丈夫じゃないけど…大吉くん、庇ってくれてありがとう」
「いいえ、困っていそうでしたから」
さっきまでの真剣な表情から、いつもの爽やかな笑みに戻っていてホッとした──のも束の間。
朝比奈くんが不穏な言葉を呟いた。
「『姫』候補ってことは、これからグループ全体で臼井を『姫』にしようとあの手この手使ってくるんじゃ」
「……え?」
「総長の言うことはぜーーったい、だからな…」
一難去ってまた一難、とはよく言ったもので。
どうやら、東総長に気に入られてしまった(?)ことで、まさかのグループ全体で攻め込まれることになるとは、思いもしていなかった。
思わず縋るように大吉くんを見れば、にっこりと笑みを浮かべて……。
「大丈夫ですよ、なんとかなります」
そこには「面白い」といった感情は含まれておらず、ただただ強運の持ち主、大吉亜門の力強い言葉だった。
静まり返る教室内。誰もがふたりに注目していて、私は大吉くんの背中に隠れたままどちらかが話し出すのを待つしかなかった。
「まあいいよ。君の友人だとしても『姫』のことは諦めないからね。恋をするのに許可はいらないだろう?」
「…遠くから眺める恋ならいいんじゃないでしょうか」
「ふふ、今日はそろそろ帰ろうかな。チャイムも鳴るしね。じゃあ『姫』、今度ゆっくりお喋りでもしよう」
「臼井さんはお断りします、と言っています」
大吉くんとの意思疎通。その通りだったので何も言わないでおく。
東総長はそのまま教室を出て行ったみたいで、一気に張り詰めていた空気が柔らかくなった。アラクレクラスメイトが大吉くんを囲むように……ということは私の周りにも集まってくることになるのだけれど、口々に「総長相手にあんだけ言い合えるとはさすがボス!」と称賛の声を上げた。
私もようやく大吉くんの後ろから自分の席に戻り、腰を下ろす。ドッと疲れたような気がするのは、気のせいなんかじゃない。
「No.2も目をつけられるなんてな…」
「まさか『姫』候補にされるなんて」
哀れみの目を向けないでほしい……ここでも不運パワーが発動してしまった自分が悔しい。こればっかりは、どうしようもないのだけれど。
「臼井さん、大丈夫でしたか?」
「全然大丈夫じゃないけど…大吉くん、庇ってくれてありがとう」
「いいえ、困っていそうでしたから」
さっきまでの真剣な表情から、いつもの爽やかな笑みに戻っていてホッとした──のも束の間。
朝比奈くんが不穏な言葉を呟いた。
「『姫』候補ってことは、これからグループ全体で臼井を『姫』にしようとあの手この手使ってくるんじゃ」
「……え?」
「総長の言うことはぜーーったい、だからな…」
一難去ってまた一難、とはよく言ったもので。
どうやら、東総長に気に入られてしまった(?)ことで、まさかのグループ全体で攻め込まれることになるとは、思いもしていなかった。
思わず縋るように大吉くんを見れば、にっこりと笑みを浮かべて……。
「大丈夫ですよ、なんとかなります」
そこには「面白い」といった感情は含まれておらず、ただただ強運の持ち主、大吉亜門の力強い言葉だった。