不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました

第一話 波乱の幕開け

桜吹雪が美しい四月初旬──。


本来なら公立高校へ進学していたはずの私。

臼井いと(うすいいと)、本日より高校一年生。

公立高校入試日に人生初のインフルエンザにかかり、すべり止めで受けていた私立高校伝統の黒いセーラー服を泣く泣く着ることとなってしまった、なんとも不運な十五歳である。




古びた体育館で行われているハレの舞台、入学式。

私の『不運体質』は今日も絶好調だ。


学園長の「お巡りさんのお世話にならない程度に高校生活を送るように」という謎のお言葉を聞いていると、突然どこからか飛んできたのは一口サイズのチョコ。

チャームポイントであるみつあみを揺らしながらギリギリで避けられたまでは良かったのだけれど、私の不運がこの程度で終わるわけもなく。


避けたと同時にバランスを崩して派手にパイプ椅子と共に倒れ込み、ザワつく周りの視線を一身に浴びながら小声で「ごめんなさい!」と謝り、倒したそれを戻して腰を落ち着けた。

…と思ったら、隣に座っていたピンク髪男子の学ランの第二ボタンにみつあみが引っかかり、また謝り、渋い顔で取ってもらっていると、後ろのほうでガシャーン!と何かが飛ばされる音を皮切りに喧嘩が始まった。


どこからやって来たかわからない、不良やらせてもらってます!といった風貌の集団までもが乗り込んできて、入学式は不完全燃焼のまま強制終了。


その間(かん)、私はみつあみが引っかかったまま、拳を振り上げ、やる気満々のピンク髪男子にくっ付いて喧騒の波に揉まれながらもなんとか脱出。

逃げるように体育館を後にしたのだった。


意味がわからないでしょ?
大丈夫、私も怒涛のイベントラッシュで頭も体もついてきていないから…。




『私立早乙女野薔薇学園』

名前だけ見るとお上品でお淑やかなイメージを持つ人がほとんどだと思う。
ところがどっこい。男女共学とはいえ生徒のほとんどが男子、しかも喧嘩や揉め事が大好きな不良ばかりが集まるアラクレ高校なのだ。


そこに、不良だの喧嘩だのから程遠い平凡な私が放り込まれた…というか「家から三分だし、すべり止めだし」と深く考えずにこの学園へ自ら飛び込んでしまったのだからなんとも言えない。


『いとも歩けば水たまりにハマる』


唯一の家族であるおじいちゃんにそう言われるくらいの運の悪さ。こうなることを想定してすべり止めの高校をしっかりと選んでおくべきだったのに。

肝心なところで大切なことがすぽーんと抜けてしまうんだから…私のバカ…。
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