不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
ため息をつきながら階段をのぼる。


グラウンドにあったクラス分け表によると、私は一年B組。教室は三階。
クラスメイトは三十人ぴったりで、女子は私だけ。

隣のクラスのA組にも女子がひとりいたけれど、赤い髪の毛を振り乱し、嬉々として喧嘩に参加していたから仲良くなれるかは定かではない。


不安しかない高校生活の幕開け。

とにかく教室の隅で静かに過ごしていくしかない。
もしかしたら気の合うクラスメイトだっているかもしれないし。別にみんな悪人ってわけじゃないんだから。

……たぶん。



お守りがたくさんついた鞄を肩にかけ直したところで私の足元に何かがまとわりついてきた。
それがハンカチだと気が付いたときにはもう私の体は傾いていて…。


──やばい、落ちる!!


咄嗟に伸びた右手はナニカを掴み、後ろにのけぞっていた体勢を整えるため、強く引き寄せる。
ナニカも後ろへ行かないようグッ、と力強く抵抗してくれたおかげで段差で膝を打ちはしたものの、私は階段から落ちることなく前へ倒れ込むだけで済んだ。


危なかった…入学早々、骨を一本、折るところだった。


大怪我を免れてほっとしたのも束の間。

目の前にはスラリと伸びる長い脚。
そして私の右手が掴んでいる、黒いナニカ。


「…は?」

「ほぎゃーーーー?!」


下着を露出した(※私のせい)、ツヤツヤの黒髪が美しい、学ランをしっかりと着込んだ眼鏡の美形がポカンとした顔で私を見つめていた。


まさか掴んだナニカが誰かのズボンだなんて思わないじゃない…!?


背が高いのもあってか、一段上にいる眼鏡男子が余計大きく見えて迫力というか、圧がすごい。
下も…違う意味で迫力がすごい…(※私のせい)。


「やるね〜、あのみつあみ頭チャン」

「さすがこの学園に入学してくるだけあるわ」


ざわめきながら私たちを取り囲んでくる不良たち。

下着を露出させられてかたまる眼鏡の美形。
そのイケメンのズボンをずり下ろしたみつあみ女子。


何、この地獄絵図…。


あまりの不安と緊張、そしてこのトンデモ状況にいよいよ私の意識はブラックアウトしてしまったのだった。
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