君と未完成を綴って。
序詞 知らない男の子

序詞⑴ 知らない名前


全く関わりのなかった男の子と、隣の席になって。

しかもそれが、とんでもない美少年だった場合。


「よろしくね、詩語(うたかた)さん」


……私、どうすればいいんだろう。

*ーーー*


「莉湖(りこ)! クラス一緒だっ」

「あ、ホントだ。よかったじゃない」

「もうちょっと喜んで!?」

「綴(つづり)がはしゃぎすぎなのよ」


私、詩語 綴(うたかた つづり)。

今日から中学二年生です。

始業式の日の朝。

昇降口に張り出されたクラス分けの表を見て、周囲は朝からざわざわと騒がしい。

色んな表情を浮かべる生徒の中、私はひとりガッツポーズ。


「三組、莉湖っ……」

「さっきからそう言ってるでしょ」

「何回言っても足りない……!!」


莉湖は冷静なんだよ。

もうちょっとリアクションがあってもいいのに。

中学二年生のクラスって大事だと思う。

中だるみしやすい時期を共に過ごすってなると、できれば仲の良い友達がいてほしい。

そう考えていたから、親友の莉湖がいればもう充分!

もう一度三組の表に目を向けて、知っている名前がないか確認する。

えーっと、去年クラスが同じだった人と、友達、知り合い……。

そのとき、ひとつの名前に目が止まった。


瀬川 未影


……知らない名前。

去年も同じ学年だったはずなのに、名前も顔も知らない。

なんでだろ?

まぁいっか。

クラスが同じなら、喋ることもあるよね。


ーーそのときの私は。

これから隣の席になって、図書室で関わるようになるなんて、思ってもみなかった。
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