君と未完成を綴って。

序詞⑵ 隣の席


二年三組。

私の席は、窓際のいちばん後ろ。


「わぁ……」


ここだと結構外見える!

初めてなったから知らなかった。

書き放題のネタ集め放題……っ!

この席って、少女マンガだと隣がイケメンで、ヒロインが恋に落ちて。

テスト中の消しゴムハプニング♡

じゃないっ。

王道もいいけど!

私はそれをネタにする側!!

確かに体験したら書きやすいかもしれないけど、そんなイケメンと恋できる気がしない……。

というか、お隣さんいないみたいだし。

ひとりで百面相していると、始業のチャイムが鳴った。

担任となる先生が入ってきて、みんなが騒ぎ始める。


「こら、静かに。今から始業式なので、シューズを持って移動してください」


始業式。

体育館だっけ。

もうオンラインにすればいいんじゃないのかなぁ。

先生たちも大変そうだ。

みんなが喋りながら出て行くのを、先生がまた「静かに」と注意する。

うちの学年、元気な子が多いんだよね……。

シューズ袋を持って、教室を出る。

他のクラスの人たちも混ざって、ごった返しの廊下。

これ、列どこにつくるのっ。


「綴!」

「あっ、莉湖!」


莉湖に名前を呼ばれたってことは、女子列はそっちっぽい。

出席番号は『う』で早めだから、人の間を縫って前の方に進む。

そのとき、私の真横を誰かがスッと通った。

柔らかい柔軟剤の匂いが鼻をかすめる。

見えたのは、黒と白。

黒髪と、真っ白な肌。

ワンテンポ遅れて後ろを振り返ったけど、人がいっぱいいるせいでわからない。


「……誰?」


私のそんな呟きは、騒がしい廊下に吸い込まれていった。

*ーーー*
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