親が再婚したけど、どうやら義兄弟が八人いるらしい
1 義兄弟は八人らしい

私の名前は八代凛(やつしろりん)、十七歳。
まぁ、この名字がこの八代になったのはつい最近のことで、今日から私は母の再婚相手の人の家で、暮らすことになっていた。

新しく私の父となった八代海(やつしろかい)さんが迎えに来るらしく、私は待ち合わせ場所である駅前の広場のベンチにキャリーケースを持って座っていた。今日は平日なので、仕事のある母はあとから合流するらしい。

正直、私が物心ついたときには両親は離婚していたので、新しい父親ができることに嫌悪感はない、しかし、十七年間父親というものがいなかったため、どう接すればいいか考えあぐねていた。再婚するまでに私は何度か海さんと会っており、いい人であることはわかっている。


「お父さんって呼べたらいいな」


そう呟いた小さな声は広場にいる人たちの声にかき消された。

待ち合わせの時間まで、あと十分。刻一刻と進んでいく時計を見るたびに、心臓の鼓動も速まっていく。

私はこの引っ越しと共に高校も転校することとなった。以前の私の家庭は裕福と言えるような環境ではなく、私が働けるようになってからはバイト三昧だった。だから、これといって友達もほとんどおらず、彼氏なんてもってのほかだったし、男の人と業務連絡以外で話したのなんて、小学生のときが最後だった。

まあ、そのおかげで、未練なく、すぐに引っ越しを決めることができたのだが。

そうこうしているうちにもう待ち合わせの時間だ。海さんは正直言って顔がよく、身長も高いので、すぐ見つかるはずだ。初めてお母さんが海さんを連れてきたとき、結婚詐欺を疑ったくらいだ。まあ、ほんの数分、二人を見ているだけで、胸焼けしそうになるくらい甘い雰囲気を感じ、疑うことはなくなったのだが。

あたりを見回してみた。いない。海さんは時間に遅れるような人ではないはずだ。それなら、何か連絡が来ているはず、そう考えてスマホを取り出したときだった。私の上に影が落ちた。


「あ、いたいた、君が凛ちゃんかな?」


時が止まる。そこには知らない男の人が立っていた。


「誰ですか?」


知らない男の人がなぜ私の名前を知っているのか、私は警戒した目で男の人を見た。キリッとした顔だが、明らかに戸惑っており、手をオロオロと動かしていた。


「…僕のこと聞いてない?ごめん、別に変質者なわけじゃないんだ、えっと…八代ってわかるかな?僕は八代一翔(やつしろかずと)君のお兄さんになる人だよ」


八代凛、十七歳。
いつの間にか兄ができていました。
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