親が再婚したけど、どうやら義兄弟が八人いるらしい

変質者、もとい一翔さんはそれから私に名刺をくれた。


「八代弁護士事務所代表、八代一翔…?って、弁護士なんですか!?」

「一応ね、ここにいても何だし、一旦車の方に移動しない?」

「あれ、海さんは?海さんが来るって聞いてたんですけど…」


すると一翔さんは困ったような顔で笑った。


「どうやら、外せない用事ができたみたいで、僕に電話してきたんだけど、まさかこのことを凛ちゃんに話していないどころか、僕たち兄弟の話さえしていないなんて…適当なところもある人だとは思ってたけど、ここまでとは…」


そう言って、一翔さんはため息をついて頭に手を当てた。

私はこの話を聞いて何かが引っかかった。今彼はなんて言った…?


「…僕たち兄弟?」

「あっ、そうだよね、それについても車で話すから、とりあえずついてきて」


そう言われて私は、一翔さんの後ろをついて行った。まさか、一人じゃないなんて。駐車場へ向かう一翔さんの背中は、先ほどのオロオロ感が感じられないほど逞しかった。


「着いたよ」


私は自分の目の前にある車を見て目を見張った。車は黒く、太陽の光に反射してキラキラと光っていた。


「わぁ」


思わず感嘆の声が出ていた。母と二人暮らしのときはこんな車になんて乗ったことがなかった。私たちがいつも乗っていたのは中古屋で買った格安の車だった。


「助手席に乗って、とりあえず、行きながら話そう。中、汚かったらごめんね」


そう言って、一翔さんは助手席のドアを開けてくれた。私は、そのまま車に乗り込んだ。

シートベルトをして、一翔さんが運転の準備をしているのを待っているとき、ふとお尻の方に違和感を覚えた。

(何だこれ)

そう思いながらお尻の下にどうにか手を突っ込んでみて、違和感の正体を探った。

(あった)

取り出してみると、それは、食べた後の有名なチョコレートの包み紙だった。よく、デパートで売っている、ちょっと高めのチョコレート、私も数回しか食べたことのない良いやつだ。


「ごみ?」


すると、隣に座っていた一翔さんがギョッとした顔でこっちを見てきた。


「あ、ごめんね。ちゃんと確認したはずだったんだけど、本当にごめんね?あとで犯人は叱っておくから」


犯人は分かっているというような口振りに少し笑いそうになった。しかし、お菓子のゴミがあるなんて、もしかして兄弟というのは小さな子供なのかもしれない。それなら、それで嬉しい。小さい妹か弟を持つのは少し夢だったのだ。


「小さい子でもいるんですか?」

「小さければよかったんだけどね」


そう言って一翔さんは、遠い目をした。そして、言いづらそうな顔をして続けた。
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