ギャルが異世界にトリップしたら、暗殺一家の大公子とスパダリ婚する事になりました

33.異世界で、らぶらぶしました

甘野芣婭とギルベルト達と別れたコンラットは、奴隷の獣人達の事を荷車に誘導しているダンテに声をかけた。

「ダンテさん、お疲れ様です」

「コンラット、久しぶりだな。ギルベルト様は一緒じゃないのか?」

「はい、ギルベルト様は今日はお帰りになりましたよ」

「「「えっ⁉」」」

ダンテとコンラットの会話を聞いていた黒騎士団(ブラックナイト)の団員達は、作業していた手を止めて驚いてしまう。

「ギルベル様が帰った⁉本当ですか、団長!!!」

「ローレルベルク家の御令嬢と一緒に帰ったぞ」

「ギルベルト様と交際しているって言う御令嬢⁉もしかして、今日の一緒に潜入していたネイビー色の髪をした?」

「あれが本当の姿じゃないぞ、変装した姿だからな?あれは」

コンラットの説明を聞いた団員達は冷血で怖い、仕事人間のギルベルトしか知らない為、仕事よりも恋愛を優先した事に驚いていた。

「そう言えば、ニックスとレヴァリオは、その御令嬢の専属騎士になったんだよな?実際、どんな感じなの?」

興奮気味の団員の1人が、近くで作業をしていたニックスとレヴァリオの2人に声をかける。

ニックスは暫く考えた後に、レヴァリオの肩に腕を回しながら答えた。

「芣婭ちゃんは、むっちゃ可愛いぞ!人形みたいな感じで、レヴァリオの女嫌いが発動してないしよ」

「あのレヴァリオが優しくしてるって事か⁉それが本当なら一大事だぞ⁉」

「一大事って何ですか、あの方は他の女性とは違います」

「違うって?どの辺が違うのさ」

「それを貴方に話す義理はありませんよ」

レヴァリオがキッパリと断るが、団員達の甘野芣婭への興味がなくなる事はなく、ただ1人の少年だけを覗いて。

不貞腐れた顔して作業をしてるボルフを見つけたコンラットは、彼の隣で腰を低くして名前を呼んだ。

「ボルフ、どうした?そんな怖い顔して」

「団長、俺は別に怖い顔なんてしてないですよ」

「ギルベルト様に女が出来た事が気に入らないのか?」

「今日帰ったのも、女の方がわがままを言ったからに決まってる。あの人が自分から仕事を放り出さない」

ボルフの言葉を聞いたコンラットは、軽く笑いながらボルフの頭を乱暴に撫でまわす。

ワシャワシャワシャ!!!

「わっ⁉ちょっ、何するんですか⁉もうっ」

「俺も何回か顔を合わせた事があるが、お前が思ているような女の子じゃないぞ」

「団長まで、その女の味方するんですか。俺、あっちの作業を手伝ってきます」

そう言って、ボルフは会話を終わらせてコンラットから離れて行ってしまい、その様子を見ていた孔雀が近付いて来た。

「うちの子が失礼な態度をとってしまって、申し訳ない」

「孔雀、ボルフの態度の事は気にしてないよ」

「ギルベルト様にも恋人が出来ちゃったから、勝手に寂しがってるんだよ。ボルフ、隊長とギルベルト様にすごい懐いてたから」

「アイツが思ってるような子じゃないんだけどなぁ…」

「今まで、ギルベルト様に近寄って来る女性は居たけど、女性と交際するとは思ってもいなかったよ。女性人気はあったけど、恋人を作ってこなかったじゃない?」

コンラットと孔雀の2人が話していると、奴隷の獣人達を見送ったダンテが話に入ってくる。

「話は聞かせてもらったぜ?だったら、こうしたらどうだ?そのお嬢さんを呼んだ親睦会を開くってのは」
「親睦会ですか?」

「その方が手っ取り早いだろ。ボルフと顔を合わせられるし、俺達もいずれはお守りする事になるかもしれないし、騎士達に顔を合わせておくのも良いだろ」

「あー、俺もダンテさんの意見に賛成なんですが…。ギルベルト様が快(こころよ)く了承してくれるかどうか…」

「何、もしかして他の男に恋人の顔を見せたくなってのか?あのギルベルト様が⁉」

コンラットの反応を見たダンテは苦笑いしながら、頭を抱えてしまった。

***

甘野芣婭 (17歳)

ガタンッと揺れる馬車の中で、芣婭の隣に座るギルベルト君の生暖かい視線がむちゃくちゃ注がれている。

対面で座るシーちゃんは微笑ましそうに見つめる中、ケロちゃんとベロちゃんの2人は嫌そうな視線をギルベルト君に向けていた。

「芣婭、何故こっちを見てくれないんだ?」

コンラット達とは違う声色で芣婭を名前を呼んで、クルクルッと芣婭の長い髪を自分の指に絡めて遊んで。

今更になって、みんなの前でギルベルト君に抱き付いた事が恥ずかしくなってきた。

「おーい、ふーあ」

「な、なぁに?」

口元を手で隠しながらギルベルト君の方に視線を向けると、ギルベルト君は嬉しそうな顔をして「呼んだだけだ」と答える。

ボンッと頭から湯気が噴き出してしまいそうなくらいに、自分の顔が真っ赤になっているのが分かった。

名前を呼ばれただけで、こんなには恥ずかしくなった事なんかないし、付き合ってから顔が見れなくなった事もない。

馬車の中の揺れが収まり、ギルベルト君のお家の執事おじが馬車のドアを開けて、芣婭達が降りれる準備をしてくれている。

3段くらいの高さの足場が馬車のドア下に設置され、ギルベルト君が一足先に降りてから、芣婭に向かって
手を差し出してくれた。

「俺の手に掴まれ、芣婭」

「うん」

芣婭がギルベルト君の手の上に手を置こうとした時、ベロちゃんが先にギルベルト君の手の上に手を置いて、何故かドヤ顔で馬車を降りて行く。

「サンキューな?ギルベルト」

「お前、わざとやりやがったな…」

「さぁ?」

「喧嘩売ってんのか?」

ギルベルト君とベロちゃんが言い合いを始めてしまい、ケロちゃんが芣婭の手を掴んで馬車から下ろしてくれると、執事おじが満面の笑みを向けてくる。

すっごい笑顔なんだけど、良い事があったのかな?

「芣婭様、お帰りなさいませ。本日はこちらにお泊りになられると、ギルベルト様から聞きました。お風呂の準備はタバサが既に済ませております」

「あ、ありがとうございます」

「私共に敬語は不要でございますよ、芣婭様。貴方はギルベルト様の恋人なのですから」

「いやぁ、お世話してもらってるのに、こういうのなんて言うんだったかな…。礼儀知らず?みたいにはなりたくないので!」

芣婭の言葉を聞いた執事おじを含めた執事さんとメイドさんが、目を点にさせて固まってしまった。

その反応を見ると、芣婭が何かおかしな事を言ったのではないかと不安になる。

「芣婭が良い子だから、皆(みな)が驚いているだけだ。使用人に敬意を払う者はそう多くないからな」

「芣婭は良い子じゃないと思うけど…?みんなそうじゃないの?」

「ほとんどの奴等は権力を武器に、下の者達に偉そうな態度をとる。芣婭、噛まれた方の手を貸してくれ」
「うん」

ギルベルト君に言われて噛み痕がある腕を差し出すと、「再生(ヒール)」と呪文を唱えた瞬間、暖かい光が噛み痕がある腕を包み込んでは傷口があっという間に塞がれた。

パパも前に使ってくれた魔法をギルベルト君も使えるんだ。

「タバサ、先に芣婭を風呂に入れてやってくれ」

「かしこまりました、ギルベルト様。芣婭様、お風呂
場に御案内しますわ。シエサ、貴方も入浴の手伝いをなさいな」

「ギルベルト君よりも先に、お風呂に入って良いの?ギルベルト君のお家なのに」

「良いよ、ゆっくりしてきたら良い。ケロべロスの2匹は客間に案内させておく」

「わ、分かったっ。じゃあ、お言葉に甘えて」

ギルベルト君と会話を終わらせて、芣婭はシーちゃんママに案内されてお風呂場に向かう事になった。

***

甘野芣婭を見送った後、ケロちゃんとベロちゃんの客間の案内をマーヴィンに任せ、ギルベルトは軟禁を終わらせたオルタニアの執務室に向かっていた。

執務室の扉を数回ノックすると、部屋の中にいるオルタニアの「どうぞ」と言う返事を聞いてから執務室の中に入る。

老眼鏡をかけたオルタニアは難しい顔して書類に目を通しており、部屋の中に入って来たギルベルトに視線を向けずに声をかけた。

「マーヴィンから聞いた、闇市場(ブラックマーケット)の摘発と奴隷達を解放しに行っていたんだろう?もう、ファントムウルフに送り届けたのか」

「コンラット達に任せてきたから問題ないでしょう」

ギルベルトの言葉を聞いたオルタニアは、驚いた顔をしてギルベルトに尋ねる。

「お前がコンラット達に任せてきたのか?本当に?」

「父上のその顔は何ですか、アイツ等だけでも出来る事でしょう。今回の闇市場(ブラックマーケット)は小規模なものでしたし、例の薬の材料提供していた悪魔を排除出来ましたから」

「悪魔の血を使った薬だったな。だが、既に貴族達の手に渡ってしまっている。欲に溺れた貴族共が悪魔を
召喚して、再び薬を作り出す恐れもある。今後は十分に警戒して行った方が良いだろう」

「今回、保護した獣人の青年と少年を黒騎士団(ブラックナイト)の寮に、しばらく住ませる事にしました」

「ほう、ファントムウルフに帰りたがらなかったのか?」

オルタニアにガゼルとセパの2人の事を事細かく報告すると、オルタニアは意地悪な笑みを浮かべてギルベルトに視線を送った。

「なるほど、ガゼルと言う青年に嫉妬したと言う事か」

「芣婭は俺と交際しているんです、当たり前でしょう」

「はぁ⁉交際しているだと⁉俺が軟禁されている間に交際を始めたのか⁉」

「ええ、それに今日泊まりに来ています」

「今日⁉」

まさか甘野芣婭と交際を始めていると思っていなかったオルタニアは、椅子から立ち上がってギルベルトに近付く。

「結婚前の娘に手を出す気じゃないよな?ギルベルト」

「公爵と婦人に交際を始めたと挨拶に行った時にも、ちゃんと約束しました。交際をしているものの、まだ正式な婚約者ではありませんからね」

「挨拶⁉貴様、俺が不在の間に挨拶に行ったのか⁉こういうのは父親も同席するのが筋だろう⁉勝手に1人で行くもんじゃないだろう⁉」

「何怒ってるんですか?軟禁されて不在だった父上が悪いのでは?」

「シュベルトと婦人を招いて食事会を開くぞ!ちゃんと両家の顔合わせをした方が良いだろう!!!お前もそう思うだろ⁉ギルベルト!!!」

オルタニアの今までない圧を感じたギルベルトは、早く執務室から出たくて仕方がなかったのだった。

***

甘野芣婭 (17歳) 

ザパァァンッ…。

「あったかぁい…っ」

案内されたお風呂場は体育館くらいの広さで、異世界漫画で見た事があるお風呂で、シーちゃんが芣婭の髪の毛を洗ってくれている。

お母さんにも髪を洗われた事がないから、照れるなこれはっ。

「芣婭様、力加減は如何ですか?」

「大丈夫だよ、ありがと。髪なんて洗ってもらった事がなかったから新鮮。恥ずかしいね」

「先程、カーディアックのメイド達と芣婭様の髪を洗う権利を取り合いになりましたよ」

「え⁉取り合い?どーゆー状況?」

「芣婭様とお近づきになりたい者達が多いのです。ですが、譲る気はありませんよ?芣婭様の身の周りの世話をするのは私です」

シーちゃんのドヤ顔を見て思わず笑ってしまい、シーちゃんは芣婭の事を怒る事なく照れくさそうに笑う。

髪を洗い直してもらった後、さすがに体は自分で洗ってから出ると、シーちゃんママとメイドさん達が色んな種類の部屋着用のワンピースを持って芣婭の事を待っていた。

「お待ちしておりました、芣婭様!」

「ギルベルト様を更に骨抜きに致しましょう!」

「もっと可愛くさせて下さい!」

「え、え?」

メイドさんの圧に圧倒されてしまい、芣婭はメイドさん達と一緒にドレスルームに移動し、用意してくれた部屋着用のワンピースに着せ替えられた。

20着くらい着せられた結果、メイドさん達から合格が出たワンピースは白のレースのワンピースで、お風呂上り用の香水をつけてもらって、肌ケアもしてもらって…。

「「可愛いぃ…!!!お似合いですっ、芣婭様っ!!!」」

「嬉しいっ、ありがと!」

「さぁ、ギルベルト様も入浴を終えられたようです。芣婭様を客室に御案内しますよ」

シーちゃんママの言葉を聞いたメイドさん達は、名残惜しそうに芣婭の側を離れて行く。

「メイド長の私が客室に御案内します、貴方達は下がりなさい」

「そんなっ、メイド長だけとシエサだけずるいです!」

「そうですよっ、メイド長!」

「あのね、ここで言い合いをしていたらギルベルト様をお待たせさせてしまうでしょ?今日の所は我慢なさいな」

「「「申し訳ございません、メイド長…」」」

シーちゃんママに怒られたメイドさんッ体が可哀そうで、思わずメイドさん達に声をかけてしまった。

「ギルベルト君のお家に来る時は連絡鳥?を送るから、芣婭が遊びに行く前に決めとてよ。ね?良い考えじゃない?」

「「「芣婭様は女神様でございますっ!!!」」」

「貴方達、これ以上はギルベルト様に怒られるわよ。
お茶の用意をしに行きなさい」

「「「かしこまりましたっ!!!」」」

メイドさん達は駆け足でドレスルームから出て行き、シーちゃんママは頭を抱えながら客間に案内してくれる。

客間の扉は既に開かれて、お風呂上がりのギルベルト君がソファーに座って本を読んでいる姿が視界に入ってきた。

少し濡れた髪が色っぽく、たくましい胸板が見える黒色のシルクのパジャマを着ていて、肩には薄手の長めのネイビー色の上着がかけられている。

「ギルベルト様、芣婭様をお連れしました」

「遅かったな」

「申し訳ございません、ギルベルト様」

シーちゃんママンの言葉を聞いたギルベルト君は、長い前髪を掻き分けながら立ち上がって芣婭の前まで歩いて来た。

「ケルベロスの2匹は出掛けて行ったぞ」

「え、ケロちゃんとベロちゃんが?どこに行くって言ってた?」

「いや、行き先は特に言ってなかったな」

「そうなんだ」

すぐにケロちゃんとベロちゃんが戻ってくると思っていると、ギルベルト君が芣婭の手を取ってソファーに座らせてくれる。

さっきギルベルト君が読んでいた本の横に、可愛らしいデザインの箱が置かれている事に気付くと、ギルベルト君は優しく微笑みながら口を開く。

「今日、芣婭が一緒にいたいって言ってくれて良かった。ちょうど、頼んでいた物が出来上がったんだ」

「なぁに?」

「開けてみてくれ」

「分かった」

ギルベルト君から箱を受け取り、箱に巻かれているピンク色のリボンをほどいて開けて見ると、綺麗なシルバー色の宝石とピンクレッド色の宝石が1つずつ装飾されたチェーンのブレスレットが入っていた。

このブレスレットを見て、ギルベルト君の瞳と芣婭の瞳を現したデザインだってすぐに分かる。

「ゴブリン討伐に行った時に、芣婭の瞳の色と同じ色の魔石を見つけたんだ。この国では、恋人に自分の色と同じ宝石を装飾したブレスレットを送るって風習がある。ジュエリー商人に頼んだら、俺の瞳の色の魔石を使って作ってくれたんだ」

「芣婭にプレゼントしてくれる為に頼んでくれたの?」

異性からアクセサリーを贈るのには物によって意味は違い、ネックレスなら首輪、ブレスレットなら手錠と
言った独占欲が込められた意味がある。

ギルベルト君がブレスレットを用意してくれたのも、独占欲の現れだと言う事が分かるし、初めて会った時はそんなタイプには見えなかったから驚いてしまった。

「俺と離れていても、これを見れば芣婭が俺のモノだって示せるだろ?俺が芣婭のモノだって事も示せる。ブレスレット、着けて良いか?」

「うんっ」

芣婭の返事を聞いたギルベルト君は、自分と同じ色のブレスレットを手に取って右手首に着けてくれる。

ギルベルト君と同じとように芣婭の瞳のと同じ色のブレスレットを取り出し、ギルベルト君の右手首にブレスレットを着けた。

キラキラと輝きを放つシルバー色の魔石は、ピンクレッド色の魔石と共鳴するように輝きを増していく。

「嬉しいっ、ありがとギルベルト君!本当に貰ちゃって良いの?」

「俺が芣婭にプレゼントしたかったんだ。そんな事は気にしなくて良い」

「えっ、それはさすがに申し訳ない!芣婭も何かお返ししたいよ!ギルベルト君は何が好き?買って持ってくるよ!」

「物は良いんだ、その…、俺の事を愛称で呼んでくれたら嬉しい」

そう言ったギルベルト君は耳まで真っ赤にして、恥ずかしさに耐えきれずに芣婭から視線を逸らしてしまう。

愛称って何?

あだ名的な感じ?

「ごめん、ギルベルト君。愛称ってなぁに?」

「そうか、芣婭は知らなかったな。愛称って言うの
は、親しい関係の人間しか許してない呼び方だ。友人のランスロットは俺の事をギルと呼ぶ」

「そうなんだっ、ギルベルト君の愛称?がギルなの?芣婭が呼んで良いの?」

「ハハッ、呼んで良いのかって?」 

ギルベルト君は笑いながら芣婭の肩を抱いて、自分の方に引き寄せると耳元で甘く囁く。

「芣婭は俺の恋人なんだから、呼んで良いに決まってるだろ?」

キュンッと胸が締め付けられる感覚がして、ギルベルト君が笑ってくれるだけでこんなにもドキドキしてしまう。

芣婭はギルベルト君の事がどんどん好きになってる。
これ以上、好きになったら戻れなくなってしまう。

「呼んでくれないのか?芣婭」

「えっ、えっと…、ギル君」

ギルベルト君の愛称で名前を呼んだ瞬間、芣婭の唇がギルベルト君に奪われてしまった。

チュッと唇が離れる時に音が鳴り、ギルベルト君の熱の籠った眼差しが注がれ、優しく抱き締められる。

「好きだよ、芣婭」

「っ!芣婭も、ギル君が大好き」

お互いの気持ちを伝え合った後、芣婭達はもう1回キスをして、見つめ合って笑い合う。

「ギル君が好きって言ってくれて嬉しいっ」

「俺も芣婭から大好きって言ってもらえて嬉しいよ」

「ギル君ってさ?すっごくカッコイイからさ、モテモテだったんでしょ?今まで、女の子と付き合った事ってある?って、あるに決まってるよね」

「芣婭は俺の初めての恋人だ、自分から交際を申し込んだのも生まれて初めてだ」

「え⁉芣婭が初カノだって事⁉」

まさか、ギルベルト君が今まで誰とも付き合った事がないとは、衝撃的なんですけど⁉

「初カノ?と言うのは恋人の事だよな?あぁ、芣婭が初めてだよ」

「マジか、でもめちゃくちゃ嬉しいよ!でも、告白とかはされてきたでしょ?」

「うちの財力や地位を目当てに寄ってきていた女共が居たが、全く興味がなかったな。幼馴染みの女がいるが、アイツも俺の事を実の兄ように慕ってくれる。俺が好きなのは芣婭だけだ」

ちゃんと芣婭が不安にならないように、ちゃんと説明してくれるのが嬉しい。

「でも、芣婭の最初の恋人になれなかったのは残念だ」

「うっ、ごめんね?でも、えっちはした事ないよ!」
 
「なっ⁉」

「えっちは本当に大好きな人とするものでしょ?」

「分かったから、それ以上は言わなくて良いよ」

ギルベルト君が顔を真っ赤にしてそう言うから、これ以上は何も言わないようにした。

「芣婭の気持ちは十分に伝わってるから、ありがとう」

「うん!」

「今度、休みが取れそうなんだ。交際してからデートに行ってなかっただろ?どこかに行かないか?」
 
「え、デート⁉ピクニックデートしたいな」

「ピクニックか、良いな。花園かデートスポットの公園のどっちかに行くか」

「デートスポット⁉こっちの世界にもデートスポットってあるんだ!」

「お茶の御用意が出来ましたよ」

次のデートの行き先について話し合っていると、シーちゃんママが苺の甘い香りがする紅茶を淹れてくれて、新鮮なフルーツとクッキーを用意してくれる。

シーちゃんは大きめのブランケットを芣婭の膝にかけてくれて、2人は少し離れた場所で微笑まそうに見つめてきた。

ギルベルト君と他愛のない話をして、芣婭はいつの間にか寝落ちしてしまった。

***

甘野芣婭が小さな寝息を立てて、ギルベルトの腕の中で眠っているのを見たタバサが声をかける。

「客室に御案内しますか?」

「いや、このまま俺もここで寝るよ。芣婭が気持ちよさそうに寝ているからな」

ギルベルトの言葉を聞いたタバサは一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに笑顔に戻ってギルベルトに頭を下げた。

「かしこまりました、では失礼します」

タバサとシエサは頭を下げてから客室の扉を閉め、ギルベルトは甘野芣婭の体を抱き締めたままソファーに寝転んで目を閉じる。

そのまま翌朝まで眠っていると、玄関先で女性の甲高い怒鳴り声がカーディアック家の玄関に響き渡った。
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