ギャルが異世界にトリップしたら、暗殺一家の大公子とスパダリ婚する事になりました

34.異世界で、ライバルが宣戦布告しにきました

ギルベルトと甘野芣婭の2人の時間を気を使って作ったケルベロスの2人は、客間が見える大きな木の上で監視していた。

甘野芣婭にギルベルトがキスをしている姿を見たベロちゃんが、窓を蹴破ってまで突入すようとしたので、ケロちゃんは大変な思いをして止めて朝になっても熟睡している。

「チッ、何で俺様がここで監視みてーな事をしないといけねーんだよ」

そう毒を吐き捨てながらベロちゃんが煙草を咥えた時、カーディアックの門の前に馬に乗ったコンラットとヒューズ、ニックスとレヴァリオの4人の姿が視界に入った。

ニックスとレヴァリオの2人は甘野芣婭の専属騎士の為、シュバルトの命令で甘野芣婭の事を迎えに来ていたのだ。


「ふわぁ…、眠いです。3時間睡眠はさすがに堪えますねぇー」

「奴隷達が、安全にファントムウルフに入国したかを確認するまでが俺達の仕事だ。3時間も眠れたんだ、十分だろ」

「そうですけどぉ、オルタニア様に報告しないといけませんしねぇ」

「団長、馬車がこちらに向かって来ているようです」

ヒューズとコンラットが話してる間にレヴァリオが声をかけると、見慣れない家門が彫られた馬車が停車する。

バンッと乱暴に馬車のドアが開けられ、中から出て来た人物を見て4人は驚いてしまった。

「おっ、お嬢様!お待ち下さい!!!」

執事の言葉を無視して1人の女性が門を勝手に潜って、屋敷の玄関に向かっている姿がベロちゃんの視界に入ってくる。

薄い紫色の長い髪は可愛らしくハーフアップにアレンジされ、白い肌に長い睫毛、大きなエメラルドグリーンの瞳、レースが程良(ほどよ)くあしらわれた清楚なワンピースを着こなす。

「団長、あの子ってギルベルト様の幼馴染の…、確か昨日は芣婭ちゃんが泊ってたんですよね?」

「これは厄介な事になりますね、我々も彼女の後を追いかけた方が良いかと」

4人は馬車から降りて来た女性に見覚えがあり、女性がこれから何をするのかも簡単に想像ができ、ニックスとレヴァリオの言葉を聞いたコンラットが走り出して行く。

執事長のマーヴィンが屋敷の外から声が聞こえ、何事かと思い玄関を開けた時、女性は勢いよくマーヴィンに駆け寄った。

「マーヴィンッ!!!お兄様に恋人が出来たって聞いたけど、それは本当なの⁉」

「カ、カミラお嬢様⁉な、何故こちらに⁉まさか、1人で来られたのですか⁉共を連れずに…」

「執事は連れて来たわ、噂を聞きつけて急いで来たの!本当にお兄様に恋人が出来たの⁉正直に話して!」

カミラに問い詰められたマーヴィンは答えに迷っていると、後を追い掛けてきていたコンラット達も玄関に到着すると、カミラがコンラットを見つけて近付く。

「コンラット!!!お兄様の事は聞いてるんでしょ⁉」

「カミラお嬢様、落ち着いて下さい」

「今までずっと恋人がいなかったのに、どうして出来るの?手紙を送っても返事が来ないのは、仕事が忙しいからって言い聞かせていたのよっ。それなのにっ、こんな事って…」

コンラットとカミラが話していると、タバサを連れたオルタニアが階段を降りながらカミラに声をかけた。

「何の騒ぎかと思えば、お前かカミラ」

「おじ様!お久しぶりです」

オルタニアの存在に気が付いたカミラは、ワンピースの裾を広げてオルタニアに挨拶をする。

彼女はギルベルトの幼馴染であるカミラ・スカーレット、スカーレット家は下部の地域を治めている公爵家であり、スカーレット家の党首とオルタニアは古い友人であった。

カミラは幼少期の頃からギルベルトに懐いていたが、兄と慕っていた感情が恋愛感情に変わるのは早く、彼女は長年の間もギルベルトの事を好いていたのだ。

当然、オルタニアはカミラがギルベルトを好いている事を知っていたし、カミラの耳に遅かれ早かれ入る情報だとも分かっていたが、本人が来ると思ってもいなかった。

「おじ様、お兄様に恋人が出来たって噂を聞きました。嘘ですよね?お兄様に恋人が出来たなんてっ、嘘ですよね?」

「カミラ、ギルベルトに恋人が出来たのは本当だ」

「嘘でしょ?本当に…?そんなっ!!!」

「悪いが、今日の所は帰ってくれないか?ギルベルトはまだ寝て…」

「お兄様はその女に騙されてるんです!!!」

オルタニアの言葉を遮るように、カミラは涙目になって大声で叫ぶ。

その姿を見たオルタニアはカミラになんて声をかけたら良いのか迷っていると、カミラはオルタに近付いて言葉を続ける。

「きっとそう、お兄様は悪い女に引っ掛かってしまったんだわ。おじ様、その女はここにいるんじゃないですか?だったら、会わせて下さい!納得いきませんわ!!!」

「落ち着きなさい、カミラ」

「落ち着ける訳がないじゃないですか!!!お兄様に会わせて下さい、会いたいんです…」

今にも泣き崩れてしまいそうなカミラの姿を見て、オルタニアはタバサに視線を送ると、タバサはギルベルトと甘野芣婭が寝ている客室に向かって行った。

客室の前に到着したタバサは深呼吸をしてから扉をノックし、一足先に起きていたギルベルトは寝ている甘
野芣婭の顔から視線を逸らす。

コンコンッ。

「ギルベルト様、お目覚めになられておられますか?」

「下で騒ぎ声が聞こえてきたら、嫌でも起きてしまう。何があった」

「カミラお嬢様がお見えになっておられます、ギルベルト様にお会いしたいとの事で」

「カミラが?」

「はい、ギルベルト様に恋人が出来たと言う噂が耳に入って来たそうで」

タバサとギルベルトが扉越しで話をしていると寝ぼけた甘野芣婭が、目を擦りながらギルベルトに抱き付いて胸に頭を擦り付ける。

その仕草だけで、ギルベルトの心臓は簡単に跳ね上がり、甘野芣婭に対しての愛おしい気持ちが膨らんで行ってしまう。

「起きたか?芣婭」

「うー、ギル君がどっか行く気がして起きたぁ。何かあったー?」

「どうやら、幼馴染が俺に会いに来たみたいでな。無理に起きなくても良いんだぞ?」

「一緒にいくぅ」

「フッ、分かった」

子供のように自分に甘えて来る甘野芣婭の額にキスをしてから、ギルベルトは甘野芣婭を抱き起していると、タバサの慌てた声が聞こえてきた。

「カミラお嬢様⁉お待ち下さい!まだ、ご準備が整っておりませんっ」

「そんなの良いわ、退いてちょうだい!」

「あっ!」

「おっと⁉」

客室の前まで来ていたカミラに突き飛ばされたタバサをヒューズが支えると、カミラは勢いよく扉を開ける。

バンッ!!!

***

甘野芣婭 (17歳)

ギル君がどこかに行っちゃう気がして眠い目をこすって、むりやり起きた時だった。

バンッと勢いよく扉が開かれる音で完全に目が覚め、「お兄様!!!」と女の子の大声が聞こえて視線を向けると、芣婭と同じ歳くらいの可愛い女の子が立っている。

大きな目に涙をいっぱい溜めて、ギル君の事を愛おしそうに、そして切なそうに見つめいて唇を震わせて言葉を吐く。

「お兄様っ、本当だったんですね」

「カミラ、早朝から何しに来たんだ」

「何しに来たって…、お兄様に恋人が出来たって聞いたんです。この目で確認したかったんです、その女ですか」

女の子はそう言って、キッと芣婭の事を睨みつける。
あれ?この子、もしかして?

「芣婭にそんな目を向けるな、カミラ」

芣婭の事を睨みつけている女の子にギル君がキツイ言い方をすると、女の子の目からポロッと涙が零れ落ちた。

その反応を見ただけで、この子がギル君の事が好きだって分かるし、芣婭が同じ立場だったら気に入らないのは当たり前だよね。

「貴方!」

「ん?貴方って、芣婭の事?」

「芣婭の事って、貴方しかいないでしょ⁉え、自分の事を名前で呼ぶの?私と同じ歳でしょ?貴方」

「あっちゃあ…、これはまずいな。カミラお嬢、ギルベルト様の表情が見えてないなぁ…」

女の子は馬鹿にするような笑い方をして、悪役令嬢っぽさが全開な背後で、ニックが苦笑いしながら一歩後ろに下がる。

お母さんにも散々言われて来たから、この子の言い方はお母さんよりも優しいな。

「おい、カミラ。俺の事を怒らせたくなかったら、これ以上は口を開かない方が良い」

「っ…、なんでそんな言い方するんですかっ。他の女性と話す時のようなっ、話し方をするんですかっ!!!私には、私にだけはしなかったじゃないですか!!!」

ギュウッ!!!

そう言って女の子はギル君に抱き付き、子供のように泣き出す。

この子がこうなってしまうのも分かる、ギル君が急に自分に対する態度を変えてきたら泣いちゃうのも分かる。

分かるけど…、芣婭のギル君なのに!!!

ほっぺをパンパンに膨らませながらギル君の腕に抱き付くと、ギル君は芣婭の方に顔を向けてすっごく嬉しそうな顔をした。

ギル君は片手で女の子を自分から引き剥がして、芣婭の事を女の子に見せつけるように抱き寄せる。

「貴方、お兄様と出会って日も浅いくせに、どうやってお兄様の事を騙したの」

女の子が言葉を放った瞬間、コンラット達はギル君の表情を見て顔が青くなり、さすがの芣婭も顔を見なくても分かっちゃう。

ギル君、めちゃくちゃおこだよぉぉぉ!!!

「今の言葉を取り消せ、カミラ」

「嫌です、嫌です!!!お兄様の呪いの事も知らない女が、お兄様の寵愛を受ける資格はありませんわ!!!」

「へ?呪いって芣婭が進行を止めた呪いの事?」

「は?」

芣婭の言葉を聞いた女の子は目を大きく見開いて、進行を止めた事がかなり驚きの出来事だようだ。

「呪いの進行を止めた?あ、貴方が?ど、どうやって?今まで、誰も信仰を止める事が出来なかったのに?あぁ、私を騙す為に嘘をついたんでしょ?そうに決まって…」

「呪いの進行を止めてくれたのは芣婭だ。これを見ても信じないか」

ギル君はそう言ってから2つボタンを外して、女の子に体に刻まれたピンクの薔薇を見せると、女の子は薔薇と芣婭の顔を交互に見つめた。

「この子と同じ瞳の色の薔薇が、呪いの部分に咲いてる?ほ、本当に呪いの進行を止められたって事?じゃ、じゃあ、お兄様は死なないんですね?」

女の子は怒るよりも、ギル君が死ぬことがなくなった事が嬉しそうに微笑む。

この子は芣婭と同じように、ギル君の事が好きなんだ。

告白はしてなさそうだな、ギル君はこの子が自分の事を恋愛として好きって気付いてないみたいだし。

「ですが、関係ないですわ。お兄様とは別れてもらいます」

「はえ?べ、別とは?」

「呪いの進行を止めた事には感謝していますわ、ありがとうございます。ですが、貴方はお兄様の事をよく知らないでしょ?」

「んー、そう言われると知らない事が多いと思う。でも、これから知っていけるって思ってるよ?」
「何ですって?」

女の子はきょとんっと目を丸くさせて、芣婭の事を不思議そうに見つめる。

「えっと、お名前はなんだっけ?」

「それ、私に言ってるの?カミラ・スカーレットよ。スカーレット家の公爵令嬢よ、貴方はどちらの家の御令嬢なのかしら」

「芣婭?芣婭はー、えっと、ロールベルグ家?だよ。あ、合ってる?名前、合ってる?」

「間違ってないですよっ!芣婭様」

左隣に立っているシーちゃんに名前が合ってるか確認すると、合ってるぽくて良かった。

名前は何とか憶えれるけど、こっちの苗字が長すぎて覚えれないって、マジで。

「ロールベルク家⁉じゃあ、貴方は養子って事?どうりで、言葉使いもあれなんですね」

「言葉使いもあれ?敬語は使えるよ?」

「お前さ、本当に何しに来たんだ。俺はお前の小言を聞いている暇はないんだよ。芣婭の事も家に送らないいけないし、俺はこれから仕事だ」

カミラちゃんの話を聞いていれなくなったギル君が、気怠そうに溜息を吐きながら呟く。

この態度を好きな人にされたら傷付くし、実際にカミラちゃんはむちゃくちゃ傷付いてる顔をしていた。

「お兄様っ、私はそのっ、お兄様に目を覚ましてほしかっただけでっ、小言を言いに来た訳じゃっ」

「分かった、もう良い。今日の所は帰ってくれないか」

「…、分かりました、申し訳ございません…、お兄様」

「玄関まで、お送り致します」

ギル君に謝ったカミラちゃんは本当に悲しそうな顔をして、執事おじに連れられて部屋を出て行ってしまう。

カミラちゃんがいなくなった瞬間、コンラット達が一斉に深い溜息を何回も吐いた。

「はーっ!!!空気重過ぎっ。相変わらずだったなぁ、カミラお嬢様」

「あ、ヒューズ達おはよ。みんな、カミラちゃんの事知ってるんだね」

「おはようー、芣婭ちゃん。まぁ、カミラお嬢様は見ての通り、昔から気が強くてね。ヴィオレット様も中々癖が強いけど、また違う癖の強さと言うか何と言
うか。ギルベルト様の事がす…」

「わあー!!!」

「ムグッ⁉」

芣婭は慌ててヒューズの口を塞いで、コンラットとニックとレヴァさんの3人を部屋の隅に誘導し、ギル君に聞こえない声で話をする。

「ど、どうしたの?芣婭ちゃん?俺の口をいきなり塞いだりして」

「ヒューズ、カミラちゃんはギル君の事好きって言うつもりだったでしょ。だめだよ!カミラちゃんは直接、ギル君に告白してないんだからっ。ギル君の反応から見て、カミラちゃんが自分の事を好きだって気付いてないよ」

「えぇ⁉誰が見ても、カミラお嬢がギルベルト様の事が好きだって分かるのにっ」

「だとしても、好きだって告白されないと相手が自分の事を好きだって分かんなくない?カミラちゃんがいない所で、好きってバラしたらだめだよ」

「そ、そう言うものなの?」

芣婭の言葉を聞いたヒューズは不思議そうな顔をしていて、乙女心が分かってない事が分かった。

カミラちゃんがそれとなく、ギル君に伝えてほしいって頼まれて言うのと、ポロッと言うのとじゃあ全然違ってくる。

「まぁ、カミラお嬢様は幼少期の頃からギルベルト様にお熱だったし。芣婭がいるのに、告白してこないんじゃないかな」

「じゃあ、カミラちゃんは言わないまま失恋しちゃったって事か」

コンラットの話を聞きながら、ギル君に冷たい態度を取られているカミラちゃんの事を思い出す。

このままで良いのかな、なんかモヤモヤする。

そんな事を考えていると背後から腕を回され、力強く後ろに抱き寄せられて視線を向けると、気に入らなさそうな表情を浮かべているギル君が立っていた。

「話し合いは終わったか」

「は、はい!今、この瞬間に終わりました!!!」

ギル君に声をかけられたヒューズは慌てて返事をし、ニックとレヴァさんに視線を移して「朝食を取らせてから、芣婭」を送ると呟く。

「タバサ、芣婭の着替えを手伝ってくれ。俺も着替えてから食堂に向かう、コンラット達も食堂で朝食を済ませていけ」

「かしこまりました、ギルベルト様。芣婭様、こちらへ」

「あ、はいっ。ギル君、また後でね」

「あぁ、食堂で会おう」

芣婭とギル君は一旦ここで別れ、食堂で落ち合う事になり、シーちゃんママの案内でドレスルームに向かう事に。

お風呂上がりの時みたいにメイドさん達の着せ替え人形になって、くたくたになった状態でドレスルームを出るとケロちゃんとベロちゃんの2人が廊下に立っていた。

「あ、ケロちゃん、ベロちゃん!おはよ、どこに行ってたの?」

「屋敷の外で悪魔が乗り込みに来ないか監視してたんだ。今日も可愛いな」

「えへへ、ありがと!メイドさん達センスが良いよねぇ」

「芣婭が何でも似合うからだと思いますよ」

2人共、芣婭の顔を見た瞬間に褒めてくれるから照れちゃうよ☆

メイドさん達はケロちゃんとベロちゃんの事を見て、小さく「キャアアッ、美形の殿方!!!」と話している声
が聞こえてくる。

改めて2人の横顔を盗み見ると、確かにイケメンだよね、うん。

芣婭達が食堂に着く頃には、コック服を着たおじさんがギルベルト君の目の前でスクランブルエッグを作っている姿が視界に入った。

ギル君のお家の食堂は、ここで調理が出来るように台所が設置されていて、シェフおじは手慣れ手付きで芣婭達の朝ご飯を作っている。

「芣婭、俺の隣に座わってくれ」

「はーい」

言われた通りにギル君の隣の空いている椅子に腰を下ろすと、シェフおじが完成した朝ご飯を次々と運んでくれて、みんなで談笑しながら朝ご飯を食べた。

ギル君は仕事がある為、と芣婭達が乗った馬車が見えなくなるまで、ギル君とコンラット、ヒューズの3人は見送ってくれた。

芣婭達はロールベルグ家に帰ると昨日の疲れがどっと出て来てしまい、自室のベットに倒れ込む。

「なんか疲れたなぁ、ちゃんと寝た筈なんだけどなぁ」

「大丈夫か?熱でもあるんじゃないか」

そう言って、ベロちゃんが芣婭の額に手を置くと、数秒後にベロちゃんが大慌てし出す。

「やっぱり、熱があるじゃねーか!」

「え?熱?」

「待ってろ、芣婭!ニックスとレヴァリオの2人に、
医者のガキを連れてきてもらうからな!」

「あ、ベロちゃ…、わっ⁉」

ベロちゃんは芣婭の言葉を聞かずに部屋を出て行くと、ケロちゃんが軽々と芣婭の体を抱き上げてベットに向かって歩き出す。

優しくベットの上に下ろされ、ケロちゃんはベットの
横にあるドレッサーの椅子に腰を下ろした。

「芣婭はしばらく安静にして下さい、外にも出たらダメです」

「微熱かもしれないよ?そんなに心配しなくても…」

「芣婭」

「分かりましたぁ、ケロちゃんの言う通りにしますぅ」

ケロちゃんの無言の圧に負けて、芣婭は言われた通りに大人しくする事にし、ふとスマホの存在を思い出す。

「ごめん、ケロちゃん。テーブルの上に置いてあるスマホ取ってくれる?」

「スマホ?あぁ、これですか」

「そうそう、ありがと!」

久しぶりにスマホ画面に触れると、何件か通知が来ていて、内容を見て行くと芣婭は思わず起き上がって口を手で塞ぐ。

「どうしたんですか?芣婭」

「嘘っ、嘘っ!」

「芣婭?」

「お母さんとお父さんが殺されたって、ニュースに載ってる…」

ニュースアプリから来ていた通知は5月15日に、お母さんとお父さんが何者かに殺されてしまった事と、お兄ちゃんが同じ日に行方不明になっているという事。

鋭利な刃物でめった刺しにされたお母さんとお父さんは即死、捜査を始めて1週間が経つが、お兄ちゃんは未だに見つかっていないと書かれていた。

そしてもう1つ驚く事が書かれた記事があり、お母さんとお父さんを殺したのが芣婭だって書かれていて、知らないうちに芣婭は両親を殺した犯人にされている。

部屋に戻って来たベロちゃんとニックとレヴァさん、シーちゃんが芣婭に声をかけてきていたが、全く耳に入って来ない。

動画アプリを開いて「甘野夫妻殺人事件」と検索すると、最新のニュースの映像がアップされていたので再生マークを押した。

『5月15日午後20時にて、甘野佳代子さん(54歳)と甘野修造(57歳)さんの2人は、自宅のリビングで鋭利な刃物で何度も刺され出血多量で死亡した事件ですが、2人を刺した甘野芣婭さん(17歳)は見つかっておりません』

ニュースキャスターのお姉さんがマイクを持って、芣婭に家の目のまで事件の内容をが話している。

この日は芣婭は家に帰っていない、何故ならケロちゃんとベロちゃんと一緒に異世界にやって来たから。

『甘野芣婭さんは幼少期の時から、甘野佳代子さんに虐待を受けていたと言う過去がありますが。実の母親を殺すと言うのは…』

『甘野冬馬さんは甘野芣婭さんに連れ去られたと言う説がありますが、加藤さんはどうお考えですか?』

「なんで、こんな事になってるの?芣婭が異世界に来てから、あっちの世界でこんなっ…」

話を聞いているだけでも吐きそうになる、頭の中にお母さんとお父さんの顔が浮かび、2人の死体姿を想像してしまう。

「芣婭様、顔色が悪いです。その端末はもう見ない方が良いです」

「シーちゃん…っ、芣婭がお母さんとお父さんの事をっ、殺した事になってるのっ」

「私達は芣婭様がそんな事をしていないと信じています、大丈夫です」

シーちゃんがそう言うと、ケロちゃんとベロちゃん、ニックとレヴァさんも芣婭の事を信じてくれているのが分かる。

本当にどうなってるの?なんで…。

ブー、ブー、ブーッ。

スマホが勢いよく振動し、驚きながらスマホ画面を見てみると、映し出されている名前を見て思わずスマホを落としてしまう。

ボスッとベットの布団の上に落ちたスマホ画面には
「翔君」と書かれており、芣婭に電話をかけてきたのは元カレにの翔君だった。
< 35 / 35 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop