無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
「なに、もしかして藤香の初恋の人なの!?」

「違うっ!」

「違うの!? 無駄に期待させないでよ〜」

小夜が期待して損したとでも言わんばかりに口を尖らせている。

「じゃあ、なんで引き受けたの?」

小夜にもう一度聞かれ、私は観念して理由を明かした。

「私も本当はコミュニケーション取るの苦手だから……ある程度の世渡りは出来るけど、なんとか頑張ってここまで来た感じ。だから上手くいかない辛さも分かるし、少しでも力になりたかったの。煌也くんには恩があるから」

「恩?」

「ちょっとしたこと。まぁ、そこは置いといて」

「置いとけるか!」

終業時間になったので、抗議する小夜を無視して席を立つ。

「逃げるの!?」

「私はもう煌也の家に行くから話はここでおしまい」

もっと小夜が粘るかと思ったが、小夜はそれよりも気になることを見つけたらしい。
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