無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
「それ、なに持ってるの?」

「眠気覚ましのドリンクだけど」

「それは見れば分かる。藤香、そういうのあんまり飲まないじゃん」

「これは前回の反省を活かしただけ」

小夜に煌也くんのマンションで寝てしまった出来事を明かす。

「それで、藤香は今日わざわざコンビニでそのドリンクを買ってきたと?」

「うん、私もちゃんと気をつけないと煌也くんに示しがつかないから」

その話を聞いた小夜が小声で何かを呟いている。

「……色々言いたいことはあるけど、藤香も変なところがあるというか……気付いてないだけで真面目というか……」

「小夜?」

「藤香、最近部長にプロジェクト頼まれてよく残ってるよね? 今日はなんで定時で帰れるわけ?」

「朝に始発で来て進めておいたからだけど」

私の返答を聞いて、小夜が「はぁ」と分かりやすく大きなため息をついた。

「案外その御曹司とお似合いなのって藤香しかいないかも……」

小夜の言葉がよく聞き取れず聞き返そうとすると、それより前に小夜が私の背中を押す。

「いってらっしゃい、健闘を祈る!」

「なんで勝負に出かける前みたいな言い方するの!?」

小夜を問い詰めようとしたのに、今度は私が小夜に話を切り上げられてしまう。

無理やり追い出されるようにオフィスを出た私は、そのまま煌也くんのマンションに向かうしかなかった。
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