無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
マンションについた私を煌也くんが笑顔で迎えてくれる。

「いらっしゃい、藤香ちゃん。会えて嬉しい」

少しぎこちない笑顔で、でも嬉しいのは本当に見える笑い方だった。

いつも通りリビングにお邪魔してソファに並んで座る。

並んで座っても、煌也くんとの距離はちゃんとひと一人分空いている。

「煌也くん、私考えてきた方法があるの」

コミュニケーションの勉強会と言っても私はプロではないので、一緒に社交についての本を読んで実践相手になったり、借りてきた講演会のビデオを一緒に見たり。

どれだけ私が頭を捻ってもそれくらいしか思いつかないのが事実だった。

その結果、まだ煌也くんは私にすら敬語とタメ口を入り混ぜてしまうような関係。

もっと自然体の煌也くんを引き出すためにも勉強会の方向性を変えたいと思った。


「煌也くんが私に敬語を使ったら、私も煌也くんに敬語を使おうと思って」


私がその言葉を発した瞬間、なぜか煌也くんが凄く驚いた表情に変わった。
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